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『いつの間にか、ちゃーんと大人になってたんやなぁ…』


「そう?」


『うん…ずっと見てきたから感慨深いわぁ』


「そっか…うん、ありがとうまゆちゃん。

頑張れたのは、まゆちゃんが支えてくれたからだよ。

デビューしてからずっと、私についてくれたから。

辛い時も一緒に乗り越えてくれたから。

ありがとう、まゆちゃん」


『そんなん…当たり前やろ。

それに、AKBさんと兼任止めたからって契約解除になるわけやないんやし。

これからも、サポートさせてーや』


「こちらこそ、よろしくお願いします」




感慨深げなまゆちゃんの瞳には、うっすら涙が…

自分の成長を喜んでくれる人がいる。

私が大切にしなきゃいけないのは、こういう人だ。

私の進歩を見守り、壁を乗り越えたら喜んでくれる人。




『決断に踏み切れたのには、他にも理由とかあったりするの?』


「え…?」


『いや、もちろんスケジュールしんどいのは分かってるんやけどさ。

今のAを見てたら、他にも理由あるんやろなって気がして。

グループのためにでも、自分のためにでも』


「うん…まいまいの卒業を経験して実感したんだよね。

きっとこれから、たくさん別れを経験する。

その時に、この子との思い出に後悔を残したくないなって。

まいまいが卒業する時、すごく寂しくて。

まだ一緒にやれるって思ってたから。

けど、理由を聞いたのね。

そしたら、どれも納得出来るもので、それで気づいたの。

私、乃木坂と全然時間のスピードが違うんだって。

AKBさんはもう、ある程度形が変わった段階にいて。

別れも流動的で、その悲しみに対処する方法が分かってる。

でも、乃木坂では全然慣れてないの。

もっとあぁしたかった、こうしたかったって、後悔ばっかり残っちゃう。

私だけ、その状態でお別れするなんて嫌だよ。

3期生が入って来て、乃木坂も大きく変わろうとしてる。

私も、乃木坂の流れに置いてかれたくない。

一緒に時間を歩んで、その中でAKBさんを追いかけて、いつか越えたい。

もう、AKBさんで学ぶべきことは全部学んだと思うから。

わがままなんだけど、自分がもうこれ以上は限界だから。

どっちも楽しく活動出来るうちに…って思うんだ」




留めていた原型のない気持ちは、時を経て可視化されてきた。

AKBさんで出来ることは、もうやり尽くした。

あとはそれら全てを、全部乃木坂に還元するだけ。

そして、同じ場所から前を行く好敵手の背中を追いかけるんだ。

・→←15歳の少女の決断



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年5月5日 23時

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