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ネガティブが消えた夏 ページ7

案の定、飛鳥は泣いていた。

根がネガティブだから、その説得は容易じゃない。

長期戦を覚悟して行ったけど、そこまで時間を要さないかもしれない。

飛鳥は、出来ないとは言わなかった。

無理だとも言わなかった。

思ってるのかもしれないけど、言葉にはしなかった。

それは、頑張りたい気持ちが確かにあるから。

変わりたい、成長したいと思ってるから。

ただ、最初の勇気が出ないだけ。

踏み出すきっかけが欲しいだけ。

それならば、喜んでその背中を押そう。




「勢いがあるグループのセンターは、怖いよね」


飛鳥「えっ……うん」


「私も怖かったよ」


飛鳥「Aも…?」


「おいシャンの時は、ただ全力で頑張ろうって気持ちしかなくて。

夢中だったから、怖さとかプレッシャーとかはあんまり感じなかった。

でも、命は美しいで久しぶりにセンターに立ったでしょ?

バスラの座長もやらなきゃいけなかった。

その時はもう、グループに勢いが着いてた時だったからさ。

私は、その勢いに置いてかれてる気がしてた。

だから怖かったんだ、真ん中に立つの。

立ち止まりそうな自分がセンターじゃダメ、私には立てないって。

今の私が立ったら、乃木坂を勢いを止めかねないって思って怖かった」


飛鳥「うん…」


「でもね、考え方を変えたら楽になったんだ。

自分の問題が解決したわけじゃなかったけど、苦しくはなくなった。

必要以上に自分を責めなくなったかな。

だから、ギリギリの所で乗り越えられた」


飛鳥「考え方…?」


「高い壁は、超えたら自分を守ってくれる。

超えるまでは大変だし、苦しいけど。

その分、超えた先に待ってるのは自信っていう最強の盾。

あれを越えられたんだから、多分大丈夫だって。

強くなった自分がいて、そんな自分を少しだけ認めて上げられて。

私、これから先に立ち向かってくる困難も越えられるかもって思えた。

そう思えるようになる自分がいたんだ」




私が突然怖いと言ったから、飛鳥は戸惑いを隠せない表情をした。

無理もないよね、こんなこと人に言ったことなかったし。

怖いだなんて表情、なるべく見せないようにしてきたんだから。

飛鳥にとっての私が、どんな風に映っていたかは分からない。

けど、この反応を見る限り、私が表向きに見せようと繕っていた姿に映っていたのだろう。

でも、それは違うよって教えたくて。

私も飛鳥と同じで、最初は怖かったんだって伝えることに意味があるんだと思う。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年4月22日 10時

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