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ハルジオンが咲いた夜 ページ26

会場に響くまいまいコール。

これが、彼女の人望だ。

深川麻衣と書いて人望と読む。

それくらい、彼女は全ての人から愛されていた。

きっとそれは、彼女が同じくらい大きな愛を持って周囲の人と接して来たからだろう。






深川「A〜、おいでぇ」


「まいまい…!」


深川「ありがとねぇ」


「んーん…っ」


深川「Aがいつも、先頭で頑張ってくれてたから。

だから、私も頑張らなきゃって思ってた。

苦しい時も泣き言言わずに、歯を食いしばって耐えてたね。

苦しいこともたっくさんあったはずなのに。

あまり力になってあげられなくてごめんね…」


「そんなことない…っ!

まいまいが、いつもグループの不協和音を中和してくれてたから。

私が作って、作りっぱなしにしちゃって、どうしようも出来なくなって。

そんな時、まいまいがいつも不穏な空気を払ってくれた。

いつの間にか、それが綺麗な旋律に変わってた。

まいまいがいなかったら無理だったよ…!」


深川「Aが作ったわけじゃないけどね…

でも、Aにとって少しでも居心地良い場所になったらいいなって思ってたよ。

Aが、心からただいまって言える場所ではありたかった」


「うん…っ!」


深川「大丈夫だよ、乃木坂はこれからも。

この空気感は、ずーっと続いてく」


「ありがとうまいまい…っ」


深川「私から最後に一つ、お願いね?

絶対に無理したり、我慢したりしないこと。

もーっと自分のこと、褒めてあげてね」


「分かった…っ!」


深川「うん、偉い子だね」


「まいまい…卒業おめでとう」


深川「ありがとう…!」




最後に一つ、お願いと言ったまいまい。

お願いじゃない、優しさだ。

熱い抱擁からは、あの日と同じ温もりを感じる。

別れの時でさえも、その温度は変わらない。




:




__ほんっとうに、ありがとうございました!




会場の余韻は、留まることを知らない。

まだ、まいまいコールは鳴り止まない。

私たちも、人型トンネルを作ってまいまいに餞を。

遠慮しながらその中をくぐり、みんなと一緒になってしゃがんじゃうまいまい。

謙虚な所は、主役だろうと変わらない。

みんなに背中を押され、センターステージに歩み寄る。

そして、まっさらなありがとうございました。

これ以上澄み渡る空気はないと思う。

会場はいつの間にか、2色の光に染まっていた。

白と黄。

ハルジオンの色だ。

初夏の呼び声と共に、ハルジオンが咲いた。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年4月22日 10時

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