傷だらけの君へ ページ17
橋本side
走り去ったAを追いかけた。
ほとんど、反射的に走り出していた。
だけど、どこを探してもその姿は見当たらなくて。
やっと辿り着いた、唯一探していない場所。
非常階段の、重たい扉を開けた。
橋本「やっと見つけた」
A「…」
橋本「今日はもう、お家帰ろうか」
A「嫌だ…」
橋本「大丈夫、家っていっても私の家だから。
しばらくは、私の家おいで。
落ち着くまで居ていいから、安心して」
有無を言わさない、強めの口調で言う。
こうすれば、Aが断れないことは知っていた。
そして、私の思惑通り、Aは首を縦に振った。
橋本「しーちゃんには、味方になってほしかったね」
A「うん…」
橋本「叩かれたとこ、痛かったでしょ。
早く冷やさないと、跡になっちゃう」
A「やめたい＿＿＿」
はっきり聞こえた、やめたいの4文字。
初めて聞いた、Aの弱音。
出来ないと言うことは何度かあったけど、やめたいと言ったことはなかった。
出来ないは、出来るに変えてきたA。
それに伴って、自信もつけてきた。
だけど、その自信さえも打ち砕けてしまった。
やめたいを、続けたいに変えるのは至難の業だった。
砕けた自信を元に戻すには、時間がかかる。
そして、心の傷を完全に修復するには、もっと時間がかかる。
A「もう、群馬に帰りたい。
お家に帰って、普通の中学生に戻りたい」
橋本「A…」
小さい子供のように、泣きじゃくるA。
大きな目からは、ポロポロと涙が零れている。
今日のAは、泣いてばかりだ。
腫れぼったい目が、見ていて痛々しかった。
でもそれ以上に、ボロボロに傷ついている姿を見るのは、もっと苦しかった。
A「ママに会いたい…っ」
橋本「おいで」
ママに会いたい＿＿
中学生が発する言葉にしては、かなり幼いもののように感じる。
でも、Aにとっては、積み重ねてきた我慢の枷が外れての言葉だった。
昨日今日に始まったことじゃない。
何年分もの思いの丈が、今外に出ようと、激流のように襲いかかっている。
こんなに簡単な欲求が、彼女にとっては遠いものだった。
当たり前のようにあった愛情を、手を伸ばせば届いた温もりを、ただ彼女は求めていた。
そんなAの背中を、ただ撫でるばかり。
私には、それ以上彼女に出来ることが見当たらなかった。
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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年11月20日 13時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 愛さん» リクエストありがとうございます。もう少しギクシャクする予定で下書きしてあるので、お楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2020年7月4日 21時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - れもんさん» リクエストありがとうございます！お時間頂きますが、書かせてもらいます。 (2020年7月4日 21時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - りんごさん» リクエストありがとうございます。お時間頂きますが、書かせてもらいます！ (2020年7月4日 21時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 琴乃さん» ありがとうございます！リアルだと今野式なのでその通りに書いてしまったのですが、バナナマンさんとの絡みも追加しました。ご了承頂いた上で、お読み頂けたら嬉しいです！ (2020年7月4日 21時) (レス) id: 29c64901f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2020年6月21日 14時
