翔サンの過去５ ページ44
翔 side.
ジュンの指がアルバムの中の１枚をそっとなぞる。
それは俺が満面の笑みをカメラに向けている写真で
優しく笑うようにしたジュンの瞳は
今にも雫がこぼれ落ちそうなほど
水分を湛えていた。
話の途中にも
ジュンの様子が気になって
何度か話すのをやめようかと思った時も
あったんだけど
時間を置こうが
何をしようが
過去は変えようのないもので
それでもいつかは
知って欲しいって思うだろう…ジュンには
そう思って話を続けたんだ。
「この小さな翔サンのそばに
オジサンや二宮がいてくれてよかった」
ジュンは写真に目を落としたまま
微かに震える声でそう呟いた。
「ほんと…感謝してる」
変な話だけど
年が幼いほど懐きやすいって事もあって
小さい子の方がもらわれていきやすいもので
俺やカズくらいの年になると
自我もとっくに芽生えて人格もほぼ形成されてるから
感情も複雑で、敬遠される事も多かったんだ。
その上、他の子どもと交流を持とうとしない俺なんて
他の里親さんからは見向きもされなかった。
でも、親父と母さんだけは
施設に遊びに来るたびに
おれの隣にずっと座って寄り添ってくれていた。
親父はあんな感じだから
他の子どもから結構人気あったんだけど
俺がその輪に入ろうとするまで
俺のそばから離れなかったんだよな。
「なんで俺なんだろ？って思って
聞いた事あったんだけど
親父は“ヒトメボレだから仕方ねぇだろ”って」
「ふふ、おじさんらしい」
「“家族”になるのも
おれの気持ちがしっかりそっちに向くまで
待ってくれてさ。
でも
もうとっくに心は向き合ってたんだけど
今度はそれが言いにくくなるくらいの
月日が経ってて。
そしたら10歳になった時に親父の方から言われたの」
「うん？」
「“翔、俺はもう待てねぇぞ！
俺は今年42になる。
俺の子どもになって俺の厄を落としてくれ！”って」
「ふふふ！」
吹き出すように笑ったジュンの瞳から
綺麗な一筋の涙が零れ落ちた。
これがおれの“家族”の始まりだった。
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ユヅキ(プロフ) - YUMIさん» ほんとにいつもコメントをくださってありがとう〜私の方もとっても楽しみにしているんですよ〜(#^.^#)移行まで少しお時間いただきますが、再開の際にはよろしくお付き合いくださーい(*^^*) (2016年3月25日 23時) (
レス) id: ead05f967a (このIDを非表示/違反報告)
ユヅキ(プロフ) - YUMIさん» そうですね〜Jさんはしょーさんの些細な揺れに気づいたのか、無意識に自然にか…(*^^*)これからもこんな風にお互い寄り添っていくんでしょうね、ふふ(#^.^#) (2016年3月25日 23時) (レス) id: ead05f967a (このIDを非表示/違反報告)
YUMI(プロフ) - 次の移行まで時間があるようですが、私はいつまででも待てるので、ユヅキさんの時間が充分確保出来た時にでも更新して下さい。ご家族との御旅行気をつけて楽しんで下さいね(^-^) 長々と失礼致しました。 (2016年3月24日 7時) (携帯から) (レス) id: a887c47837 (このIDを非表示/違反報告)
YUMI(プロフ) - ユヅキさん、いつも更新ありがとうございます。ユヅキさんの作品を初めて拝見した時から毎日が本当に楽しくて、ユヅキさんの作品は私の生きる糧になってます。本当にありがとうございます！ それからご家族と御旅行との事、承知しました。 (2016年3月24日 7時) (携帯から) (レス) id: a887c47837 (このIDを非表示/違反報告)
YUMI(プロフ) - すっと微睡みに落ちた翔さんの気持ちが痛い程こちらに伝わって来ました。切っても切り離せない絆で結ばれた二人は、今後どんなことがあろうとも二人で、周りの人たちと一緒に乗り越えていくであろう姿がありありと浮かんできました。 (2016年3月24日 7時) (携帯から) (レス) id: a887c47837 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユヅキ
| 作成日時：2016年2月12日 10時
