650 ページ50
、
「シリウス、この子はジェームズじゃないのよ！」
「お言葉だが、モリー、わたしは、この子が誰か、はっきりわかっているつもりだ」
「私にはそう思えないわ！ときどき、あなたがハリーのことを話すとき、まるで親友が戻ってきたかのような口ぶりだわ！」
「そのどこが悪いの？」
ハリーが言った。
「どこが悪いかと言うとね、ハリー、あなたはお父さんとは違うからですよ。どんなにお父さんにそっくりでも！」
ウィーズリーおばさんが、抉るような目でシリウスを睨みながら言った。
「あなたはまだ学生です。あなたに責任を持つべき大人が、それを忘れてはいけないわ！」
「わたしが無責任な名付け親だという意味ですかね？」
シリウスが、声を荒らげて問い質した。
「あなたは向こう見ずな行動を取ることもあるという意味ですよ、シリウス。だからこそ、ダンブルドアがあなたに、家の中にいるようにと何度もおっしゃるんです。それに――」
「ダンブルドアがわたしに指図することは、よろしければ、この際別にしておいてもらいましょう！」
シリウスが大声を出した。
「アーサー！」
おばさんは歯痒そうにウィーズリーおじさんを振り返った。
「アーサー、なんとか言ってくださいな！」
ウィーズリーおじさんはすぐには答えなかった。メガネをはずし、妻のほうを見ずに、ローブでゆっくりとメガネを拭いた。そのメガネを慎重に鼻に載せ直してから、初めておじさんが口を開いた。
「モリー、ダンブルドアは立場が変化したことをご存知だ。いまハリーは、本部にいるわけだし、ある程度は情報を与えるべきだと認めていらっしゃる」
「そうですわ。でも、それと、ハリーに何でも好きなことを聞くようにと促すのとは、全然別です」
「私個人としては」
シリウスから目を離したルーピンが、静かに言った。ウィーズリーおばさんは、やっと味方ができそうだと、急いでルーピンを振り返った。
「ハリーは事実を知っておいたほうがよいと思うね――もちろん、Aもだ。何もかもというわけじゃないよ、モリー。でも、全体的な状況を、私たちから話したほうがよいと思う――歪曲された話を、誰か……ほかの者から聞かされるよりは」
ルーピンの表情は穏やかだったが、ウィーズリーおばさんの追放を免れた「伸び耳」があることを、少なくともルーピンは知っている。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 856人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鵲(プロフ) - にんじんさん» わー！ありがとうございます！！嬉しいです〜😭🙏💕💕がんばります〜〜！ (2022年3月29日 14時) (
レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - そると。さん» 幸せにさせたいですーーー！！ありがとうございます！ (2022年3月29日 14時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 丁度読み終わった時に更新されていたので嬉しくて堪りませんでした🥺✨作者様が書くお話やキャラクターが大好きです🥰ご無理をなさらぬように🙏これからも応援しています！ (2022年3月23日 1時) (レス) id: 65fef8ddd4 (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - ほんんんんとに...主人公ちゃんには幸せになってほしい;;;; (2022年3月22日 16時) (レス) @page32 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - 神崎さん» ありがとうございますー！😭🙏💗 (2022年3月22日 10時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鵲
| 作成日時：2022年2月22日 19時
