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美しくなんて出来やしないさ ページ10

「失礼します」
「おや、これは大人数の来客だね」


ランスが部屋に戻ってすぐ、レモン達が救護室に入ってきた。何か出すべきかと思ったが、今あるシュークリームは食べかけだし(食べかけでも喜びそうな奴はいるが)紅茶もない。


「済まな」「あのっっっ‼︎」


Aがそのことを謝ろうとするとレモンが大声を出した。よっぽど緊張しているのだろう、顔には汗が滲み頬と耳は赤く染まっている。


「何で、ランス君の記憶を消しているのか教えてくれませんか」
「ナルコムパス」


急速に向かってくる魔力の弾にレモンは防御姿勢をとったが、マッシュがべちょ、とバレーボールのように弾を跳ね返してくれた。

「危ないじゃないですか」
「マッシュくん!!」
「(いやどゆこと…?)」

「…君は本当に面白いね」


「でも今はこの子と話がしたいんだ」


先程まではベット二つ分の距離だったレモンとAの距離が、一気に少しでも動けばキスしそうな距離に縮まった。Aの左目は髪の毛で隠れていて見えないが、右目だけでもその顔の端正さがわかる。


「それ彼に伝えた?」
「あっ…いや」
「答えて」
「(レモンちゃんが困ってる‼︎ここは俺が…!)少し離れ「五月蝿い」…ッス」


「つ、伝えてません」


恐る恐るそう言うとAはそっと杖を下ろし、距離を取った。

「そうか、なら良かったよ!確かランス君の記憶についてだね。僕は何も知らないよ」「嘘つかないで下さい」

マッシュは勘が鋭い。厭、勘が頗る悪い奴でも今の彼女の言葉は嘘だとわかったことだろう。
もう言い逃れは出来ないと悟ったのかAは俯いた。

「…うん、そうだ。僕は彼の記憶を消している」
「理由を教えて下さい」

レモンがそう言うとAは鼻で笑った。

「下さい?はは、教えろ(・・・)の間違いだろう。だって逃げ場なんて端からないじゃないか」

そう言って扉の方を見た。ドアの前には赤髪の青年が立っている。逃げ出そうものなら彼に捕まえられるだろう。

「女の子を傷つける趣味はねぇよ」
「…彼は本当に良い友人を持ったようだね



場所を変えようか」

.

「あっ、僕達の部屋なんだ。Aさんの部屋とかじゃないんだ」
「うん、同室の人怖いから」
__
僕たち、さびしく無力なのだから、他になんにもできないのだから、せめて言葉だけでも、誠実こめてお贈りするのが、まことの、謙譲の美しい生き方である、と僕は今では信じています。
太宰治『葉桜と魔笛』

それだけがとても重い→←貴方だけが救いだった



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はな(プロフ) - 透さん» ご指摘有難う御座います!私ずっとウェーだと思ってました…(にわか)。これからも引き続きお願いします! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 本好きさん» コメント有難うございます!結構こだわってるのでそう言って貰えてすごく嬉しいです! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
- 細かい所なんですけど、セル・ウォーのウォーがウェーになっています。楽しく読ませてもらっています!! (3月31日 8時) (レス) @page7 id: 23dba55806 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 毎回お話の最後にある文章がこだわりを感じて好きです。これからも楽しく読ませていただきます。 (3月30日 21時) (レス) @page7 id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 華さん» コメント有難うございます‼︎そう言って頂き光栄です。これからもそう思って頂けるよう頑張ります! (3月30日 20時) (レス) @page7 id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2024年3月28日 21時

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