理由は教えてあげない ページ8
対レアン寮祝勝パーティも終わり、ドットの包帯が取れた今も彼女は目覚めていない。
A・リドゥ
セル・ウォーと対峙し最後に応援を読んで意識を失った。それ以来ランスはずっと救護室で彼女の面倒を見ている。
_アドラ寮302号室
「すいませーん‼︎」
勢いよく開かれた扉にフィンは驚いた。
扉を開けたのはレモン、背後にはドットが立っている。2人の手には蛍光ペンが引かれた新聞が幾つも抱えられている。
「フィン君、前会ったAさんのラストネームってリドゥで合っていますか⁉︎」
「えっ、うっ、うん」
「…やっぱり噂と新聞は同一人物で間違いねぇな」
珍しく神妙な面持ちのドットにフィンもつい顔が強張った。マッシュはシュークリームを食していた。
「モグ、それが何か?」
「A・リドゥ、数年前話題になった天才製薬開発者です」
机の上にレモン達が持っていた新聞が引かれる。新聞のトップ記事にはまだ5歳にも満たない様な少女の写真がある。
《神童、製薬開発者誕生》《自動治癒薬、さらに魔力強化薬まで⁉︎》《「良さそうな奴を混ぜた」とコメント》《ついに魔力消費をなくす薬を開発!》
「…凄い…。この子がまさか…」
「はい、恐らくこの少女がAさんです」
「へーあの人凄い人なんだ」
記事にはA・リドゥ(3歳)と表記されている。
「なんで僕知らなかったんだろ」
「まあ、ある記事が炎上してこの子の話題自体が禁句になったからな。知らなくても無理ねぇよ。実際、俺もレモンちゃんから聞くまで知らなかった」
「あ、私は
新聞を読み進めると一つ、何もペンが引かれていない記事を見つけた。
《あの神童の両親が自死⁉︎》《神童でも精神薬までは作れなかったか》《天才製薬開発者の裏の顔⁉︎家族内で主従関係が存在したか》
「胸糞悪ぃ話だぜ」
「…重要なのはこちらの方の記事です」
《神童の固有魔法は忘却⁉︎》
「これって…」
「もしかしてランス君が前Aさんのことを忘れてたのって!」
「はい、
理由は定かではありませんが、彼女はランス君の記憶を消し去ろうとしています」
__
他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。それはね、ひめごと、というものよ。いかが?
太宰治『斜陽』
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はな(プロフ) - 透さん» ご指摘有難う御座います!私ずっとウェーだと思ってました…(にわか)。これからも引き続きお願いします! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 本好きさん» コメント有難うございます!結構こだわってるのでそう言って貰えてすごく嬉しいです! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
透 - 細かい所なんですけど、セル・ウォーのウォーがウェーになっています。楽しく読ませてもらっています!! (3月31日 8時) (レス) @page7 id: 23dba55806 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 毎回お話の最後にある文章がこだわりを感じて好きです。これからも楽しく読ませていただきます。 (3月30日 21時) (レス) @page7 id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 華さん» コメント有難うございます‼︎そう言って頂き光栄です。これからもそう思って頂けるよう頑張ります! (3月30日 20時) (レス) @page7 id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2024年3月28日 21時