お似合いですよと彼女は言った ページ13
「…えっ」
「…?どうしたのかな」
遊ぶ当日、マッシュ達に遭う前にAとレモンは待ち合わせをしていた。そこで少し髪型とかメイクとかアドバイスしてもらってマッシュに会いに行こうという目論みである。
「制服…?」
「服が少なくてね」
あろうことかAは制服で着ていた。しかもこの女ちゃっかり嘘をついている。服の量は少ないどころではない、制服しかない。あと白衣。
いやこれ自分の微調整してる場合じゃないな。Aの服をどうにかせねば。(ランス達がとんでもない格好をしている可能性もあるが)
「…服見ましょう」
「え」
.
「わっこれ可愛いー♡」「確かにレモン君ならそういう可愛らしい色合いが似合うね」「えーっそんな…じゃなくて!!」
危ない危ない。Aの彼氏力が高いせいで自分の服を買いそうになった。
「僕の服を選んでくれるのは嬉しいけど、その、僕に似合う服なんてあるかな」
その言葉にレモンはキョトンとした。何を言っているのだろう。(恐らく)身長は170越え、下まつ毛ばっさばさ、スレンダーな体型に下で結ばれている紫色のロングヘア、伏し目がちで下まつ毛はばっさばさ。
「似合わない服なんてありませんよ」
自分がAだったらもっと服を買い漁ってるのに。Aの自己肯定感の低さはどこで培ったのか。
「言ったからな‼︎僕は‼︎似合わないって‼︎言っ「早く着てください」
う〜なんて言いながらAはレモンが選んだ服を自身に当てた。似合わなくないか?
「…」
着てみたものの矢っ張り似合わない。パステルカラーはないだろ。他の子、レモンみたいな可愛い子が着るなら兎も角。
「開けますよ〜あっ可愛いじゃないですか」
Aは服を買ったことが少ない。白衣は買ったけれど。施設の時は施設自体貧しい所だったから、服一枚が限界だった。
「(嗚呼、でも)」
「(母さんと父さんが生きてた頃は、こんな服、よく着てたっけ)」
改めて、Aは全身が映った鏡を見た。あの頃と違って身長だけが伸びている。
「…買おうかな」
その呟きにレモンは口元が緩んだ
__
面白いことを、先にやりましょ。そうして自分を喜ばせてあげないと。思い出すと口がほころぶようないいこと、素敵なことを、いっぱいいっぱい集めて、いい匂いのする素敵な人になりましょう。
田辺聖子『いい匂いのする人』
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はな(プロフ) - 透さん» ご指摘有難う御座います!私ずっとウェーだと思ってました…(にわか)。これからも引き続きお願いします! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 本好きさん» コメント有難うございます!結構こだわってるのでそう言って貰えてすごく嬉しいです! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
透 - 細かい所なんですけど、セル・ウォーのウォーがウェーになっています。楽しく読ませてもらっています!! (3月31日 8時) (レス) @page7 id: 23dba55806 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 毎回お話の最後にある文章がこだわりを感じて好きです。これからも楽しく読ませていただきます。 (3月30日 21時) (レス) @page7 id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 華さん» コメント有難うございます‼︎そう言って頂き光栄です。これからもそう思って頂けるよう頑張ります! (3月30日 20時) (レス) @page7 id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2024年3月28日 21時