君とまた会う前に ページ1
「おや、これは凄い」
試験官によって出された目の前にある巨大迷路を見てA・リドゥはほお、と息をついた。
予め用意してくれていたらもっと進行はスムーズな気がするけれど。承認欲求を満たしたいのかな。
「それでは始めっ‼︎」
「たしけて…」
地面に掴まれている子達を助ける。
まあ受験は個人戦なので。
「お前にはここで脱落してもらう!」
「…嗚呼なんて悲しい、僕は悲しいよ。恩を仇で返すなんて」
きっと君も事情があったのだろう?そうに決まっている。だってそうでも無いと許されない所業だからね。なんて長ったらしい言葉を紡いでAはソイツをボコボコにした。
「理解し難いな。助けて何の役に立つ。お前は不合格になりたいのか?」
ピアスをつけた青年はこちらを一瞥もせず発した。それを良いことにAは青年に____。
「人助けは大事だよ。人は自分の為だけでは強くなれない」
青年は何かいいたげだったが如何やら忘れてしまったらしい。特に何も言わなかった。
ズッ
『良い人は1番何を大切にする?』
「ピエ」
Aはビビりである。対人間なら何とも無いがお化けとか何か見た目が滅茶苦茶怖いものは普通に怖い。
つまり、今目の前のファラオが
「こわいよぉ〜〜‼︎‼︎」
滅茶苦茶怖い。
『我が問いに答えよ』
「心?優しさ?良い人の定義わかんないよぉ〜〜‼︎‼︎」
『タイムアーップ汝に罰を与える』
「ギャー!」
「食だ、阿保」
ファラオの動きが止まった。
「こんな事も分からないのか」
「や、やあ、た助けてくれてああ有難う。この借りは返すよ、必ず」「そうか」
そしてピアスの青年_ランスは去っていく。暫くすると背後から足音が聞こえないことに気づいた。不思議に思って背後を向く。
「…何している」
「匍匐前進。腰が抜けてしまったからね」
こんな情け無い阿保を助ける義理なんてないが、
「嗚呼先に進んでもらって構わないよ。君にそこまで迷惑はかけられないからね」
ないが、
「はー…借りは返せよ」
「ちょっちょっと待ってくれ、僕今月体重計乗ってなくて、だから今何キロかわからな」
「黙れ」
俵担ぎをするとAは真顔になった。
「…今日の午後に研究室に来たまえ」
「俺はともかくお前も受かる前提で話すのか」
「まあね」
__
あゝ恋が形とならない前
その時失恋をしとけばよかつたのです
中原中也『恋の後悔』
84人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はな(プロフ) - 透さん» ご指摘有難う御座います!私ずっとウェーだと思ってました…(にわか)。これからも引き続きお願いします! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 本好きさん» コメント有難うございます!結構こだわってるのでそう言って貰えてすごく嬉しいです! (3月31日 11時) (レス) id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
透 - 細かい所なんですけど、セル・ウォーのウォーがウェーになっています。楽しく読ませてもらっています!! (3月31日 8時) (レス) @page7 id: 23dba55806 (このIDを非表示/違反報告)
本好き(プロフ) - 毎回お話の最後にある文章がこだわりを感じて好きです。これからも楽しく読ませていただきます。 (3月30日 21時) (レス) @page7 id: 860fd688d9 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 華さん» コメント有難うございます‼︎そう言って頂き光栄です。これからもそう思って頂けるよう頑張ります! (3月30日 20時) (レス) @page7 id: 2ebd6ae62e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はな | 作成日時:2024年3月28日 21時