【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ42)

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神がいるなら : トントンside ページ42

一呼吸おいて、またAは話し出す

「オレが介入したら、国は滅ぶんだ」

皆はそれを見守っている、彼には強すぎる眼差しで

「今までもずっとそうだ！オレが介入すると必ず戦いが起こる。前の国だってそうだった！皆を信用していないわけじゃない、でも、怖い、オレのせいで、君達がぼくの前から消えてしまうのが怖いよ」

黒く艶やかな髪がばらばらとなびき出す
深紫の眼は光を帯びる
背の羽根を撒き散らしてAは叫ぶ

「こんなに楽しい瞬間は初めてなんだ！！失いたくないよ、こんなに美しい瞬間を、ぼくが、壊してしまうんだ…ぼくなんて消えてなくなればいいのに！もういやだよ」

鬱「A…」

「ねぇ、我が主、どのように戦いを司ればいいのですか？何故戦いが必要なのですか？戦いさえなくなれば、ぼくはこのまま消滅することができるのではないですか？？」

ゾム「A、そんなこと言わんといてや、A」

「愛って何ですか？こころって何ですか？これが愛なら、これがこころなら、どうしてぼくはこの苦しさから解放されないのですか！？」

グル「A、もういい」

「どうして！！どうしてぼくはッ…この世界に存在してしまったのですか…？我が主…」

そうしてAは意識を手放した
俺たちは呆然と見ていることしかできなかった

ああ、やはり神などいないのだ

神がいるなら、
この弱くて憐れな天使を許すに違いないというのに

「…だァから私は現に存在していると何度も言っているだろう、愚かな人間ども」

…出た、この薄気味悪い微笑み、ねっとりとした話し方…‘神’だ

シャオ「お前ッ…都合のいい時だけ現れやがって！どうしてAがこんなに苦しまないといけないんだよ！」

オス「やめとけシャオロン、逆上したらあっちの得手になってまう」

「おや、悪魔は払えたんだねぇ～！結構やるじゃん、君達も、Aも」

グル「おかげさまでな…で、今度は何だ。俺たちは、前に進めているのか？」

A、いや、’神’の顔は今までにないくらい歪んだ
…笑った、のか？

「ああ！進んでいるさ！AにここまでA自身を認識させようとしたのは君達が初めてだ！」

ひと「A自身を…」

「そう、ほら、愛にもいろいろあるだろう？自己愛、献身愛、家族愛、恋としての愛…
…Aたち天使に最も足りないのは、『自己愛』さ。ほら、思い返してみたまえ！Aが自分自身を大切にしようとしたことはあっただろうか？」