【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:62,339 hit

重ね傘音 : 鬱side ページ14

屋上への階段を駆け上がる
何となくシャオロンが気になったから

もう長い付き合いだ、生憎異変には敏感なものでな

鬱「シャオちゃん」

俺の言葉で振り向いたシャオロンの顔は、酷く辛そうで
すぐにでもいなくなってしまいそうな雰囲気を醸し出す
労いの言葉すら、届いていない

鬱「風邪引くで」

シャオ「ほっとけよ」

鬱「じゃあ僕の勝手にするわ」

放っておけないやろ、そんな辛そうな顔の仲間を
かと言って何か気の利いた言葉もかけられない
とりあえず持っていた傘を差してやる
俺の体は濡れてしまうが、この際仕方がない
ぼつぼつと鳴る雨の音が心を騒めかす

シャオ「いいよな、大先生は」

鬱「…何が？」

シャオ「屑なのに、何でお前はそんなやねん」

うげ。
何だよ、屑なのにそんなやねんって！
いや、クズは認めるけどさ？
まぁ、こう返すしかないよね

鬱「ごめんなぁ、僕屑やからわからんよ」

シャオ「ッ…何で、俺はこんなやねん」

俺を罵ったかと思えば、次は自身を傷つけて
鬱は俺の特権だぞ、シャオちゃんには似合わない

鬱「そんなこと言わんといてや、シャオちゃん」

シャオ「俺は、俺に価値なんてもう」

どうしてそんなに思い詰めるんだ
前までそんなことなかったやろ、何迷ってんねん

鬱「シャオちゃん」

シャオ「黙れ、俺は、俺は…」

…どうしてこんなにも劣等感を拭えないんだ？

そんな呟きが聞こえた瞬間
俺の体は後方の壁へ吹き飛んだ

鬱「ッぐァ！！！！」

雨で濡れた目を開けると、
そこには化物がいた

シャオロンの原型はとどめてる
でも肌には訳のわからない紋章
吐く息が煙のように黒くて
目は鈍色に光る…なんていうと矛盾している気もするが、本当にそうなんだ

そいつは俺をロックオンして、じりじりと近づく

反撃すべき？
いや、彼奴はシャオロンのはずだ、反撃なんて…

まあ、できますよね。俺達、内ゲバが売りですから

鬱「オルァ！！！！」

力を込めて頬を殴る
少し仰け反ったが、全然効いてない

すぐに背後を取られ、投げ飛ばされる
受け身を取るため床に転がろうとしたが、謎の風圧が発生してそれは叶わない

俺の体は空に飛ばされた

え？まってここ屋上ですよ？

俺、落下死？

鬱「ああぁああぁああ嘘ォオオォオ！？！？！？
こんなことになるなら早いところピアノが弾けるクッソ可愛い俺の言うこと何でも聞いてくれる浮気に寛容な奥さん持って隠れ家的パン屋さんやればよかったァァアアア！！」