【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ11)

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Instead : シャオロンside ページ11

結局、何の手応えも感じないまま放送は幕を閉じた

鬱「今日は調子悪かってんな、そういう時もあるで。あんま気にすんな」

「うんうん、きっと視聴者の方も察してくれるよ」

信頼しているはずの二人からすら、無いはずの悪意を見てしまう

シャオ「なんか、ごめん」

「ふふ、さっきから謝ってばかりだよ？もっと自信を持って」

…持てるわけないだろ、こんな時に

鬱「もう今日は休んだらどうや、この後の枠は俺らがやっとくで？」

…大先生まで、俺の立場を奪おうとするのか

善意で言ってくれているのはわかってる
でもどうしても今は、善意として聞くことができない

シャオ「…ッ…じゃあ、頼むわ…視聴者には、気分悪なったとかテキトー言っといて」

投げやりに言い捨てて放送室を出た
出る直前に見えた、
クズの心配そうな眼差しも
愛する人の見透かすような視線も

今はただ鬱陶しい

-

自室に入る直前、声をかけてきたのはグルッペン

グル「おい、シャオ助」

シャオ「なんや、俺を笑いに来たんか」

グル「ちゃうやろ…さっきの放送聞いてたぞ
最近疲れが溜まっているんじゃないのか、心身ともに
少し休め、大先生と…一応エーミールも放送のMCはできる。お前には休息が必要だ」

その言葉で、一気に現実感と絶望が押し寄せる
こんなに直接的な駄目出しをグルッペンからはされたことなかったから

…はは、俺の代わりはいくらでもいるってことかよ

シャオ「グルさんが俺に介入してくるなんて今までなかったのにな。どういう風の吹き回しやろ」

グル「はぁ、お前…善意を悪意に解釈するな。心配だから休暇をとれってことや」

わかってる、わかってるけどどうしても今は無理や

歯を噛み締めて、また何か無神経なことを口走らないように下を向いて、出せた言葉はこれしかなかった

シャオ「…そう」

バタン、と丁寧に、しかし乱暴に自室のドアを閉めた

俺、何してるんだろ
考えをめぐらせて、余計に心がざわめく
…駄目だ、自室では落ち着けない

そう考えて、部屋の窓を開ける
すぐ近くに立つ木をつたって辿り着いたのは屋上

ここならば、俺を見下ろすのは、

星と、月と、降り続ける雨のみ

何でだろうか、雨降りなのに月が出ている
丁度月の周りだけ雨雲がないのだろう、とても綺麗だ

とても綺麗で、今の俺には似合わない