126話目 ページ32
Aside
田中先生のさようならの声でみんなは一斉に動き出す。私は咄嗟に彼の袖を掴んだ。
｢A.....？｣
｢あ、あの、えっっと、｣
どうしたの？と言うきんときを前に私は固まる。
言え！言うんだ！自分に喝を入れて口を開く。
｢一緒に帰りませんかね！｣
｢え。｣
あぁぁ、声は上擦ったし語尾はへんてこになった。
私が恥ずかしさで死にそうになっているときんときは｢あー.......、｣と声を漏らす。
｢ごめん、今日はなかむと帰る約束しちゃった.....。｣
｢そっか！うん、ごめんね！｣
しょうがないよね、約束してたんだもん。
ちょっとだけ悲しいけどさ。
なんて、思っているときんときの後ろからなかむが顔を出す。そして私にパチッとウインクをしてきた。
｢きんときごめん！俺クレープを食べるっていう大事な用事を思い出したから先帰るわ！｣
｢はぁ！？｣
なかむはそれだけ言い残すと走り去ってしまった。
少しの沈黙が私たちの間に流れる。
｢...A一緒に帰ろ。｣
｢...！うん。｣
私は心の中でなかむに感謝して、きんときの背中を追った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
たわいもない会話をしながら帰るのは楽しいけど、やっぱり少しは意識しちゃうもんで。
たまに触れ合う手とか、風が吹くと香る柔軟剤の匂いとか、ひとつひとつにドキドキしてしまう。
｢危ない！｣
｢え、？｣
グイッと腕を引かれて私はよろけるが、きんときが支えてくれる。さっきまで私がいたところに自転車がものすごいスピードで駆け抜けた。
｢大丈夫？｣
｢うん...ごめん。｣
私がぼーっとしていたせいできんときに迷惑をかけてしまった申し訳なさで顔が上げられない。
するとその瞬間彼は私の両頬を手で挟み顔を上にあげた。
｢ごめんじゃなくて？｣
｢...ありがとう！｣
｢うん、どういたしまして。｣
彼はにこりと笑うと、また歩き出した。
自然と車道側を歩いてくれている。
好き。
心の中でそっと呟く。
今はまだ口に出すことは出来ないけど、いつか絶対に伝えるから。
もう少しだけ、待ってて。
.
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りりら(プロフ) - Miaさん» コメントありがとうございます！ひぇぇ他の小説からわざわざ、、！！ありがとうございます🤧 書き方褒めていただいてとても嬉しいです！ぜひ定期的にお越しください🤭 (8月20日 4時) (
レス) id: 97e36a4b18 (このIDを非表示/違反報告)
Mia(プロフ) - 初コメ失礼します。今日りりらさんの他の小説から来たのですが、文章の書き方というか表現というか…それが好きで本当に物語に引き込まれてめっちゃ感情移入しちゃいました笑！とても素敵で気に入ったので他の作品も含め定期的に読みに来ます！ (8月11日 17時) (レス) @page49 id: 7aebf15c07 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - りりらさん» 本当ですか！？続編出るの楽しみに待ってますね！！その日までにいっぱい読み返します！！！()そうなんですよね…前に言ったはずなのに、私の方が忘れてて…すみません。でもknちゃん推しには代わりないんだ！！！knちゃんいいぞ！！！(？) (2023年3月6日 7時) (レス) @page50 id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
りりら(プロフ) - (knさんに推しなったの以前聞いていたので、把握済みですよ！こちらこそ今後ともよろしくお願いします😉) (2023年3月5日 22時) (レス) id: 97e36a4b18 (このIDを非表示/違反報告)
りりら(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます！私の思い出の作品なので読み返していただけて幸せです🥹shkさんが大好きなのでそのシーンは私もこだわって書きました、、、そう言ってもらえてとても嬉しいです！是非またいらしてください！！続編も現在作成中です🫡 (2023年3月5日 22時) (レス) id: 97e36a4b18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりら | 作成日時：2020年8月11日 13時
