約束の電話 ページ4
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「もしもーし」
『はぁい、さっきぶり拓哉〜』
スマホの小さな画面に映る拓哉とその横にちょこんと私の顔。
縮小された拓哉もこれまたかわいいこと。
Aちゃーん、と言いながら私に向けて手を振っている。
「寝落ちしたらあかんで」
『大丈夫、拓哉の寝顔見るまでは絶対寝ないから』
「それもそれで、ちょっときしょいけどな」
『なんか、アイドルとのファンミみたいでそわそわするんやけど』
ドキドキが止まらへん。
画面越しだっていうのに、キラキラしてる。
「初めましてちゃうやん」
いやそれはそうやねんけど。普通の電話なら何回もしとるし。けど、なんかな、落ち着かへん。
琥太郎とのビデオ通話には慣れきってるし、会話に勉強ってゆう中身があるからかな。
『拓哉くん、今日の夜ご飯何食べたんですか？』
「えー僕は今日、焼肉を食べに行きました！」
会話を切り出そうとして、唐突にファンミもどきを始めてしまう。
『えぇ！いいですね、誰と行ったんですか〜？』
「Aぇ! groupの横井ちゃんと行って、奢ってもらいました！すっごく、美味しかったです！」
『横井ちゃんと！遠慮なく、高い肉頼みまくってたっていうのは本当なんですか？』
えへ、と笑って誤魔化す拓哉。
仕事終わりに空いてたからご飯に連れてけば、私のお財布は後輩にはゆるゆるなわけで。
『まぁ全然ええけどな。拓哉なら。むしろ払わせて』
「Aちゃん、男前…」
『拓哉やからやで、』
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「Aちゃーん、ねむい？」
『…んーん、全然、』
2時間ほど経って、もう日も回っていた。
ベッドの脇に携帯を置いてほぼ顔の半分しか写ってない状態で繋げてる電話。
「絶対眠いやん、今にでも寝そうやもん」
『…ん…ま、だ』
たくやの、スクショタイムしてへんもん…と言おうとしても脳も口も無気力で思考が停止している。
そして、いつの間にか夢の中へと。
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朝起きて、通話が切れているのを見て寝落ちしたことに気付いた。
あ、拓哉のスクショタイム…。始めにやっとけばよかった、なんて後悔。
そのままトークを開けば、
"ビデオ通話してくれてありがとう"
" おやすみなさい！"
の文と共に、私の寝顔の半分が写った写真が送られてきていた。
拓哉のスクショタイムもなく、寝顔も見ることもなく寝てしまったことが悔しすぎる…。
絶対リベンジビデオ通話してやるもんね。
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作者名：ぼんじり | 作成日時：2022年10月9日 17時
