第64話 ページ14
監督「はいOK！」
OKの声を聞いた瞬間に、俺はすぐさまセットから離れた。
伊「すみません、Aちゃんどこにいますか？」
百合花「……スタジオの外にいるはずですよ。」
伊「ありがとうございます……！」
Aちゃんに会いたい。
伝えたいことがある。
自分史上最速のスピードで走り出す。クランクアップの挨拶なんて、今は後回しでいい。
スタジオの扉を押し開けると、すぐとなりのベンチに腰かけて、あの漫画を読むAちゃんが。
伊「Aちゃん……！！」
「伊野尾くん？！どうしたの？」
立ち上がったAちゃんの肩に手を置き、座らせる。俺も一緒にしゃがむ。
伊「遅くなってごめんね。……思い出したよ。」
彼女は声を出せなかった。
彼女に伝えたいこと。あの時、最後までとっておいたくせに伝えられなかった言葉。
伊「Aちゃん、大好き。」
Aちゃんの返事も待たずに、彼女を抱き締めた。
「伊野尾くん……！！」
下がっていた彼女の手が俺の背中に回る。
そして彼女は涙を流した。溜め込んだ感情を爆発させるように泣きわめいた。
彼女はずっとこの日を待っていたんだ。
レストランで俺の話をしていたときからだろうか。俺が「伊野尾慧」だという淡い期待を信じ続け、奇跡を積み重ねて、今のこの瞬間がある。
長い間、我慢させちゃったな。
「ホントに……伊野尾くん……？」
伊「うん。寂しい思いさせちゃったね。」
「どうして……。」
伊「俺だって分かんないよ。でもあの頃を、今は思い出せるんだ。」
何も考えなくていい。
あの頃と同じ俺がここにいて、Aちゃんを抱き締めてる。
あの頃と同じAちゃんがここにいて、俺を抱き締めてる。
その事実さえあれば。
俺はずっとこうしていたかったんだ。
あの日から、俺はAちゃんに触れられなくなってしまったから。
だから、今はこの時間を噛み締めさせて。
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ポッキー(プロフ) - 伊野尾様Love.@七星さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！！私の想像以上に楽しんでいただけたようでw ホントに感謝です……！！ありがとうございました！！ (2020年1月6日 23時) (
レス) id: eb2c980ab8 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - すっっごくいい作品でしたぁぁああ…泣 涙腺がぶっ壊れたw二人のすれ違いに「あぁっ、違うの！うわぁあぁあ」てなってましたw実は百合花がいじめの主だったりして？とか考えてたけど全然いい人だった…ごめんなさいw次回作ぜひ見たいです！ありがとうございました！ (2020年1月6日 22時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポッキー | 作成日時：2019年10月15日 21時
