第13話 ページ14
(山田)
四つ葉のクローバーを見つけるまで帰らない。
そんな目標を掲げていた当時の俺は、天気さえ良ければ1日中河川敷にいた。
その日は、珍しく自分が掲げた目標に負けた日だった。
遠くの山に、太陽が帰っていく。
オレンジ色の地面に、長い影が伸びる。
久しぶりに顔を上げた俺はそれを見て、気分を落としながらも家の方向へ歩き出した。
でも、収穫がなかったわけじゃない。
その日、お母さんに渡そうとしていたのはシロツメクサの花冠。
「ひとりで作れたんだよ」と渡して、褒めてほしかった。
よし、早く帰ろう。
美味しいご飯が待ってるはず。
徐々にスピードをあげて、いくつもの角を曲がっていく。
この角を曲がれば家が見える。そんな最後の角を曲がったすぐ。
.
.
その景色があったんだ。
人がうつ伏せで倒れている。しかも目に入ったのは見慣れたエプロン。
絶対にあってはならない「あること」が頭をよぎる。
違う、違う。そんなはずない。
そう信じたくて、その人を仰向けにさせた。
想像は、事実だった。
そこには目を閉じる俺の一番好きな人の顔があった。
どんなに揺すっても声をかけても、その体はぴくりとも動くことはなかった。
自分の手を見れば、真っ赤に染まっている。
手をついていた場所には、滲んで広がる血。
それは道路を赤く染め、自分の膝を染め、ついには渡すはずだった花冠も純白を忘れた。
目頭がじんわりと熱くなっていく。
霞む視界の中、遠くに見えたもの。
一人の男。
虚無感と、信じたくもない現実が頭の中を乱していく。
その場から動くこともできず。
いつの間にか降りだした雨に打たれ続けた。
ずっと。
いつまでも。
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Pocky(プロフ) - 槿さん» 槿さんありがとうございます！是非最後までお付き合いくださいm(__)m (2018年2月9日 7時) (
レス) id: eb2c980ab8 (このIDを非表示/違反報告)
槿(プロフ) - 面白くて続きが気になります!更新頑張ってください! (2018年2月9日 0時) (レス) id: dcd6098eeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポッキー | 作成日時：2017年12月19日 18時
