韓国で紅一点になるまで。

・ ページ18

．





鳥のさえずりで起きる日曜日。


なんて言えば聞こえ良く思えるかもしれないが、我が家の庭は少しばかり大きく、木が生い茂っている場所も少なくはない。


一羽二羽鳴いてる分には構わないが、数十匹の鳥が一斉に鳴いている所を想像してみて欲しい。


かえるの合唱ならぬ鳥の合唱。


想像して分かって貰えるだろうか。凄い五月蝿いのが。


ベッドの脇に置いてある時計を見れば朝8時。


休日だからもう少し寝ていたかった気もする。





「…あ 、お父さんは何処にいるかな。」





まだどこか気怠い身体を起こし、リビングへ向かう。


するとテーブルの上に一枚の紙が。


まだどこか眠い目を擦り、書いてあるものを見る。




_____________________________________________

おはようA。

ここ数日間忙しくて会えない日が続いて
寂しい思いをさせていたかもしれないけど、
それも今日で終わりだ。

今日は吉報を伝えられるはずだよ。

夜にはお母さんも帰ってくるみたいだから
久しぶりに家族皆で食事を楽しもう。

今日はオードブルを頼んであるから、
Aはゆっくりと一日を過ごしてくれ。

A、お父さんは今日もAが大好きだよ。

_____________________________________________





｢…手紙じゃなくてLINEしてくれれば良かったのに。｣





私の両親は恥ずかしげもなく好きや愛してるを伝えてくる。


これはきっと職業柄もあるだろう。


母は海外のアーティストのダンサーとして働く日も多い。


その為ライブやツアーが終わる度にフレンドリーさが増している気がする。


そして父の会社はグローバルな為、海外の方と触れ合う機会も多い。


アメリカや韓国の人と話すとパートナーや家族に沢山愛を伝えているとよく聞くらしい。


私が小学生低学年くらいの時だったかな？


その話を聞いてから、父は私や母に沢山愛を伝えてくれるようになった。


母はすごく喜んでいるが、私は今でも偶に恥ずかしく思う時もある。


でも、これが我が家の日常と思えば、何の抵抗もなく伝えられるようになった。


外出をしている時は控えめにして欲しいと思う時もあるけど…。





．

・→←両親からの連絡は

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す