bright side【ST】 (ページ18)

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朝目覚める頃には家には誰もいなかった。

リビングの机の上には小さな紙切れが1枚

ーー

大飛へ

おはよう、よく眠れた？

ホワイトボードに皆の予定書くようにしました。

今日はひろは仕事休みだからゆっくり体も休めてね。

北斗

ーー

冷蔵庫の横にホワイトボードが新しく取り付けられていて、

名前の書かれた磁石付きプレートがそれぞれはられている。

皆のそれぞれの予定と、日付などが書かれている。

「皆、帰るの遅いんだなぁ……」

ボードを見る限り、1番早く帰ってくるコーチですら20時をすぎるようだった。

「暇だなぁ」

1階客間のひとつを改装して防音室にしたし、

そこで今日は作詞でもしておこうかなぁ。

自室からギターを持って防音室に入る。

スマホの録音をONにして、

ギターを奏でながら作詞を進めていく。

大体が出来上がってきたので、歌詞を振り分けていく。

仮だけど、結構しっくりくる歌詞割にするのが目標。

実際に歌ってみたりして、ここは樹、ここは慎太郎、と振り分けてく。

「いち、にー、さん、しー、ごー……ろく……あれ？」

何度数えても振り分けた歌詞割だと誰かが抜けているようだった。

誰が抜けたんだろう。

わかんないや……

考えれば考える程に、頭の中に靄がかかったように何も思い出せなくなる。

「はぁ……もうヤダ。」

小さく呟いたため息は、防音の壁に吸い込まれた。

…