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この角を曲がって…右にまっすぐ行くとコンビニが…
『…ない』
いづみと再会して数日後、必要最低限の荷物を持ってMANKAI寮に向かっている。
向かってるんだけど、俺は極度の…
『え?あれ…??』
方向音痴である。
もう日が落ちかかってる。
バイト先からあんまり離れてないはずなのになぁ。
歩いてるうちに知らないところまで来てしまった。
近くの家の住所を見ると、ここは天鵞絨町だということだけがわかる。
スマホのマップで道を確認しようと思ったが、いくら電源を入れようとしても暗いままの画面に、俺は絶望するしかなかった。
きっと周りの人に道を聞いても、付いて来てもらわないとどうせまた迷うんだよ…わかってる。わかってるよ!
???「あの、どうかしたんすか?」
道端で突っ立っている俺を見て心配してくれたのか、大学生くらいの男の子が声をかけてくれた。
俺、側から見たら変な人だっただろうな…
恥ずかしいわ…
『ちょっと道に迷ってしまって』
???「あー…一体どこへ?」
『MANKAI寮っていうとこなんですけど…』
???「あ!ちょうど俺もそこに行くんで、一緒に行きましょうか」
『え!?ほんとですか!ありがとうございます!!』
めっちゃ大声で喜んでしまった…
え、俺めっちゃラッキーじゃない??
MANKAI寮に向かうってことは、団員さんなのかな?
『あの、お兄さんはMANKAIカンパニーの団員さんなんですか?』
???「そうっす」
『やっぱり!
俺は今日から監督補佐としてMANKAIカンパニーでお世話になります、露木 雫です』
綴「よろしくお願いします!俺、皆木 綴です。一応脚本書かせてもらってます。
話は監督から聞いてますよ!美青年が来るから楽しみにしてて、って。
ほんとに美青年でびっくりしました」
『び、美青年…?俺もう青年って歳でもないんだけど…いづみ…』
綴「え?学生じゃないんすか?」
『立派な大人ですー!いづみと同い年ですー!』
俺が駄々をこねるようにそう言うと、綴くんは「あ、タメ口で全然オッケーなんで!あとなんか困ったらなんでも言ってくださいね」と付け足すように言った。
なんだかお兄ちゃんみたいな子だな…。
そんな話をしているうちに俺たちはMANKAI寮の前にやってきた。寮でかい。
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