行く先は違えど。section.1【コードブルー】

꒰ঌ‪ episode.9 ໒꒱ ページ10

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失礼します。と部長室を出てすぐ。扉の横に凭れ掛かる黒田が視界に入り、「うおっ」と肩が上がった。


「びっくりした……何で居るんだよ」

黒田「早くCT行くぞ」

「無視か」


優しいんだかそうじゃないんだか全く分からん。そう思いながらも、待っててくれた事は素直に嬉しくて。ニコニコしながら見てくる琥大郎へ、「何ヘラヘラしてる」と眉間に皺を寄せた。


「いや、別にー？」

黒田「部長の考えは分からんなぁ。俺より、お前の方が適任だ」


本気で困ってるみたいで、溜息を吐きながら眼鏡を外した。その仕草は、昔からの癖。オレ的には眼鏡外してる方が好きだったりする。

凄い貫禄があって、男前だなーと思いながら見てたら、目が合った。


黒田「何だ」

「えっ、あー、いや、、？別になんでも」


慌てて目を逸らし、取り繕う。すげぇ訝しげな目で見られてるけど、気にしない事にした。本人に言ったって、余計に眉間の皺が寄るだけだ。

他愛もない話をしながら、CT室に向かってたら琥大郎のPHSが鳴った。


『はい…………はぁ、分かった。すぐ行く』

黒田「どうした」

「307号室の霧川紗倉ちゃんが、オレが同伴じゃないと血液検査受けないって」


部活中の怪我で運ばれ、その時に白血病が分かった中学生の女の子。小児科に移ったのだが、たまにこうやって呼び出される。



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