行く先は違えど。section.1【コードブルー】

꒰ঌ‪ episode.38 ໒꒱ ページ39

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私服を着てるから、もう帰る所なんだろう。オレを見るなり慌てて立ち上がろうとするもんだから、「そのままで良いぞ」と動きを制した。


緋山「お疲れ様です」

「お疲れー。こんなとこで何してんの？」

緋山「いや、、ちょっと…」

「なぁに？あんま言いたくない系？なら、無理に聞かんけどさ」


緋山が座ってる椅子から、1個空けて腰を下ろした。私服にまで着替えて、帰らずここに居るって事はなんかあるんだろうけど、無理に聞くメリットは無い。

だからと言って無言は気まずいと思い、パッと思い付いたことを口にした。


「藍沢ってタフだよなー。全然落ち込んでねぇし、挽回しますってはっきり言ってさ」

緋山「獅子島先生は、咎めないんですか」

「何が？」

緋山「…私、嘘ついてヘリに乗ったんです。先輩がやった論文を自分がやったって言って、妊婦さんの方を任されたけど…結局何も出来なかった…」

「それが？」


オレが言うと、目を見開いた緋山と目線がかち合った。


「まぁ、確かに嘘をつくのは良くない。でも、お前は本当に単に嘘をついて乗ったのか？少しはさ、自信があったんじゃねぇの？」


優しい声色と、優しい目。それに耐えられなくなり、溢れてきた涙を誤魔化す為に下を向いた。



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