行く先は違えど。section.1【コードブルー】

꒰ঌ‪ episode.25 ໒꒱ ページ26

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オペが終わって医局に戻ってる道中。西条に呼ばれて、中庭に来た。


「何だよ」

西条「川上さん、腫瘍が破裂して出血してた。あと少しオペが遅れてたら、死んでいたぞ」

「は？」

西条「針ヶ谷から電話の件は聞いた。オペ中とはいえ、お前らしくもない」


患者に興味が無いのはいつもの事。でも、病状に関しては1番熱心だ。少しでも異変があれば、誰の患者だろうと独断専行で気の済むまで検査をする。

人としてはともかく、外科医としては評価が高い。


「自分の判断で自分の患者を救うのは、当たり前だろ。そもそもあれは、オレの患者じゃねぇ。とやかく言われる筋合いはねぇよ」

西条「琥大郎」


眉間に深く皺を寄せて、強めの口調で呼ばれた。目を見れば、「それは本心じゃないだろ」とでも言いたげだ。


「お前が居たら、ちゃんとした判断が出来てたかもなぁ」


自嘲気味に言って、西条の肩に手を置く。


「来るって言ってたオペに来なかった奴に、これ以上話す事はねぇよ」


違う。本当は、誰のせいでもない。オレ自身のせいだ。オレが次のオペに気を取られ過ぎて、いつもの事だからって決めつけて。蔑ろにして、患者を殺しかけた。

あの時、針ヶ谷が素直にオレの言う事を聞いて放っておいてたら。そう思うだけで、自分への怒りと憎悪が膨れ上がって止められなかった。


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