にびいろの空【完結】 (ページ28)

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雲間がはたちあまりやっつページ28

すまないねぇ。
長々と、便箋のことを話そうと思ったら色々と思い出してしまって。
いやはや歳をとると抑えが効かなくていかんわい。

いや、大丈夫です。

なぁ、もしかして…。

うん。

もしかしたら…
最初はそう思っていた、それは確信に変わった
多分あの少女はこのおばぁさんの妹さんなんだろうと

あの。

どうしたんだい？

これ…。

ずっと捨てようと思ってた、でも捨てられなかった便箋
拙い文字で書かれた、寂しさの詰まったあの手紙
それはきっと捨てるでもなく、破くでもなく、ただ渡したかった相手のところに

おや？
まぁ、どうして。なんでここに。

たまたま見つけたんです。
でももしかしたら本当はおばぁさんに届けて欲しかったのかもしれません。

その文字を見ておばぁさんは涙を流した
悲しそうに俯いて頭を下げた

有難う、ずっと探してたんだ。
あの子の最後の綴りを、言葉を。でもどこを探してもなくてねぇ。
本当に有難う。

少し悲しそうにでもそれが事実だとそう確かめるようにおばぁさんは手紙に目を落とした
でもそれは多分間違いで、きっとこの言葉は最後じゃないそう思った
なんでかはわからないけど、なんとなくそう思った

でもどうしたらいいのか、このままじゃいけないこともわかってる
でも方法がわからない、どうしたら…

これが最後ってなんか悲しくね？
いやな、突然死んじゃうことになったかもしれなくても、本当にこの言葉を送ろうと思ったのかね。
思いとどまったから見つからなかったんじゃね？

先輩のその言葉でどう思っていたのか少しわかった気がする

おばぁさん会いにいきませんか？
まだきっと待ってるはずです。
本当はこれじゃなくて会って話したかったんだと思います。
うまく言えませんけど…。

…そうねぇ、会いたいのは山々なんだが、あいにくお墓は少し遠くて。

案内、しますよ。
大丈夫です。

変なこと言っている自覚はある
でも、多分あの夢が、その便箋がもしかしたらあの子がここにいるって叫びだったのかもしれない

じゃなかったらきっと自分はあの時死んでいたから