希望の苗を植えましょう (ページ48)

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アルーラは不思議そうにしている。店主はそのまま説明を始めた。

その数珠は緑子族の溢れ出るアーミラを抑えてくれるんだ。本来なら親と一緒に行きつけの店に行くはずだったんだ。

この数珠で本来周りの精霊に吸われるようにとられていた力が、必要最低限に抑えられる。精霊に伝わるということは周りにいるんだから周りに広がるんだ。

一時的なら俺のを貸してやる。

そのまままた頭を撫で始めた店主。アルーラは怯えるのをやめて少しばかり笑みを浮かべていた。

アル「ありがとうございます」

「いいってことよ」

そして食事を頼み話を、飽きることなく進めていった。

「んじゃま、今日はここまでだ。ゆっくり休めやい」

皿が空き、話の種も底をつきかけた頃、店主は明日の準備があると奥に姿を消した。
レオたちも部屋に戻るべく根っこの生えた腰を上げバーを後にした。

リン「美味しかったね」

アル「えぇ。とってもいい人だったわ」

レオ「あぁ。よかったなアルーラ」

こくりこくりとアルーラは頷き、腕をそっとさすった。緑子族同士、やはり何か通づるものがあるのだろうか、その日一日中片時も肌から離さなかった。

夜、生き物のほとんどが寝静まった頃、レオは1人起きていた。
初めての場所だからというのもあったが、自然と寝付くことができなかった。

少し身体を動かすため、部屋を出た。訓練も兼ね、宿から出てすぐの道を使いランニング。近くの木々や岩などを使い色々な部位を慣らしていた。

ふと顔を上げれば視界に入る豹なぜこんなところにとよく目を凝らせば、見慣れたシルバーの毛並み。

レオ「…兄貴」

あり得ない。あるはずがない。でも今レオの目の前にいるのは彼のようだった。
そしてその姿は木々の奥へと駆けていく。

レオ「兄貴！！」

必死で追いかける。もう離れないようにと、話したいことが沢山あるんだと。死んだというのは頭は理解している。でも今ここで見てしまったから、頭の隅にあった可能性に少しでもとすがってしまう。

レオ「まだ、教えてほしいことが沢山あるんだ」

見失わないようになりふり構わず走り続けた。でもいくら走っても追いつかないし、見失わない。
あと少し、そう思ったところでふと視界から彼が消えた。
それと同時に体に走る激痛。

自分は丘から落ちたのかと気づいたレオは自傷的に笑った。
気づけないほど夢中だった、それほど大切だった。

薄れゆく意識の中聞こえたのは誰かの笑い声だった。