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食事を終え、荷物をまとめ、レオ、アルーラ、リンドラの三人が、地域分けをする橋の近くの門に立っていた。
アリアや、いずみ、他の多くの機子族に見送られ。
アリ「貴殿たちは我らに多くのコとをもたらした。コの先、我らは今日の事柄を末代まで綴り世界の発展へと勤しむ事を約束しよう」
レオ「大袈裟だな」
アリ「変わらんな。コのグらいガ、ちょうど良いのだ」
そう言って頭を下げた状態から姿勢を戻す。そして、アリアの開門の声と共に3人は歩き出した。
突拍子も無い破天荒な日々の連続だったが、東の地での長い長い時間が今、終わりを迎えた。
後ろを向くことなく歩く3人は意気揚々と次の地を目指した。
レオ「ところでリンドラ」
リン「なんだイ?」
レオ「お前は母親が誰だか知っているのか?」
リン「なんだよ急に。それぐらい知ってるさ!」
「「!?」」
突然した質問に平然と答えを返され何がどうなったか訳がわからない2人。
リン「だって、アそこにイる時アんなに嬉しそうに話すからね気にならなイ方が可笑しイよ」
そういうリンドラの顔は何処と無く寂しげだった。
アル「憎くないの?」
リン「さァね。わかんなイや」
レオ「しかしあれだな、お前を無理矢理にここに入れるとは本当に…どんなに自分勝手なんだ」
リン「エ?」
レオが怒りに任せそういうと、リンドラは驚いた顔をした。
なぜ驚くのかと心底不思議そうな顔をして覗き込めば返ってきたのは思っても見ない言葉だった。
リン「僕がここにイるのは母さんの命令じゃなイよ?」
レオ「は?」
リン「僕の意思さ!母さんには君たちのことを聞かれてね、沢山話したよ。今までになイくらイ」
意気揚々と話す姿は母アリアによく似ていた。
リンドラの言葉を聞き、どこか引っかかっていたレオは納得の言ったように笑みをこぼす。
レオ「そうか、そういうことか」
アル「レオさん?どうしたの?」
なんでもないというがその頭はずっとフル回転していた。
なぜ、あんなにも彼女は命令ではなく懇願していたのか。
なぜ、彼のことだけは名前で呼んでいたのか。
なぜ、あんなに大事な一族の法を彼に任せたのか。
それは…
それはきっと、最愛な息子にやっとしてあげられた最初の愛情表現だったのかもしれない。
レオ「ほんと、不器用な母親だな」
母親を知らないレオは理解ができないながらもそんなものかとどこか、暖かい気持ちになっていた。
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作者名:あげのり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時:2019年5月16日 15時