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「やめ。では回収致します」
そう言われると同時に動き出す機子族。席に座り、ペンを持ち、紙に書く。これはまるで枯子族の真似事のようだった。
「何が目的なのかしらぁ」
レオ「わからない」
リン『それを探すのが僕の目的であり、君の目的さ』
レオ「!?」
「レオさん?どうしたの?」
どこからか聞こえたリンドラの声。だが気配は近くにはなく、どこをみていても彼の姿はなかった。
不気味な感覚に鳥肌のたった腕をさすっていたレオ。その耳に再度彼の声が流れる。
リン『忘れたのかイ?昨日渡したじゃなイか!」
その言葉を聞き、ぱっと耳に手をあてがえば、今までなかった冷たい無機質の感覚がそこにあった。
レオ「忘れてた」
手を当てたままそう呟けば、リンドラからのため息が返ってくる。
リン『テストの方は大丈夫そウかイ?』
レオ「まぁ、基礎なら俺でもわかる」
リン『珍しイ事もアるんだね。獣子族の者が枯子族の知識を得てイるなんてね』
レオ「兄貴が旅をするにあたって必要になるからと教えてくれた」
リン『成る程」
そうこう話しているうちに、次の問題用紙が来た。数字が沢山並び、記号も書いてある。
また、「始め」の合図とともに解いていく。
元々、色々な確率や数の数え方などは本能的に行なっていたからか、記号と文章の意味さえわかれば楽勝だった。
リン『すごイね君』
その言葉を聞きながら解き進めていけばあたったレオにとっての壁、図形。形の名称はともかく、計算に至ってはどうしてそうなるのかが理解できなかった。
うんうんと頭を悩ましていると、直接頭に届いた声。リンドラの声が響いて来た。
リン『そのテストが、どウイウ形で使われるのかはわからなイけど、教えてあげようか…』
レオ「いらない」
リン『…なんで?』
レオ「テストとは自分を知るものだ。誰かに頼って何になる」
声はおさえてはいるもののどこか感じる威圧的な力を前に若干のの怯みを見せるリンドラ。
尚も読み上げ、必死に解くレオの声を聞いて、微笑ましく思っていた。
リン『じゃアまた散策してくるよ。頑張ってね」
その言葉にん。と返事をし没頭するレオ。
字と記号、1つ1つと向き合い、ゆっくりと時間をかけて解いていった。
「やめ。集めます」
今までで二回目となる長時間の勉強を行ったレオはすでにクタクタであった。多少の不安が残るが、やりきった感覚にも満足し次を待つのだった。
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作者名:あげのり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時:2019年5月16日 15時