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彼者は自分の種族の傲慢さと理解力の無さに嘆いていた。
何故、種族が滅びたのか。
何故、負けてしまったのか。
何故、やめたのか…
今も昔も、気がつくのが遅いのだ。周りは廃れ、人々は倒れ、戦う術も気力もなくなる。
何故気づかなかったのか。
陽炎の如く不確かなその力は、自分勝手に振るうも自分に全て返ってくることを…。
レオ「おい」
外は土砂降り戦火は消え
レオ「お前らは」
地に伏した兵士は立ち上がるが
レオ「生きては返さない」
その胸の灯火も最早消えていた
開け放たれたバルコニーの窓。そこには1人の混種が立つ。
レオ「今これを持ち。この城の家主を打ち取った。俺らは晴れて自由の身だ!!」
其の物はフードをかぶりその下には漆黒の様な黒髪と月のような琥珀色の目が覗いていた。
共に戦った
この事が各地域に広まり混種の歴史が始まるノックになるのは、まだまだ先のお話。
起きた枯子族の兵士達により建物から遠ざけられた混種達。
見違えるほどに生き生きし、未だ冷めやらぬ状態でいた。そのまま祝祭と言わんばかりの有り合わせ宴を開き、大いに盛り上がった。
ここではこう活躍した。
自分はこの後どうなりたいか。
あの時はどうも。
一夜では語りきれない多くの事を語り合い、地獄からの脱出を噛み締めた。
怪我はあれど戦死者はなし。これだけでも素晴らしい戦績と言えるだろう。
「レオ」
レオ「なんだ」
「隣いいか」
レオ「別に」
彼は護衛として主人に仕えていた使者。兄貴と同様紛れ込んでいた獣子族だったのだ。
「この後どうするんだ」
レオ「…旅をする」
「何故…」
レオ「兄貴の教えてくれた世界を見てみたい」
「…」
レオ「高飛車になるつもりはないけど、俺は平等を作りたい。壁を無くしてみたいんだ」
「そうか…。まぁ、あいつの弟子ならそうだろうな。俺は一族の村へ戻る。また会おう」
レオ「うん」
そしてその男は歩き出した。
レオ「…待って」
「…?」
レオ「名前…教えて。今度会った時顔覚えてるか不安だから」
それは立派なレオの、他者と関わろうとする意思表示だった。
「あー。俺はアルガ。ウルガ…お前の師匠の兄貴だ」
そう言ってどこか忘れかけていた、あの人に似た笑顔をよこしてみせた。
レオ「またな…アルガ」
そう言って踵を返し歩き出したレオ。それに対しアルガは軽く手を挙げて答え、歩いて行った。
道は続いていた。
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作者名:あげのり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時:2019年5月16日 15時