うるわしの四人娘 三話 ページ24
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「Aちゃん、お茶子ちゃん。お店の迷惑になるからそろそろ入りましょう」
「あ、そっか。ごめん…」
「ごめんなさい」
二人でペコりと頭を下げ、それぞれカゴを取る。
「あ、あの、このカートは使いませんの……？」
さあ行こうと踏み出した時、ヤオモモがカゴの隣に置いてあるカートをチラリと見た。
「あ、使う？」
お茶子ちゃんがカゴをカートに入れる。
「あ、私はいいよ」
お茶子ちゃんがチラッと私を見たけど、私は遠慮した。
「そっか。……八百万さん、押す？」
さすがお嬢様、とでも言おうか。
カートを珍しそうに見ているヤオモモに、お茶子ちゃんがカートを差し出した。
「えっ、いいんですの？実は前からちょっと気になっていて……」
そう言って、ソッとカートを押すヤオモモ。
「まぁスムーズ！これは腕が疲れなくて便利ですわね」
ｵｼﾞｮｳｻﾏｱ←
この程度(言い方)で興奮するヤオモモ可愛い。
「八百万ちゃん、子供みたいね」
「なんかかわいい！」
凄く気が合うなぁ…
三人、目を合わせて微笑みあった。
梅雨ちゃんは個性が蛙だから、ほとんど真顔だったけど。
「まぁ、衣類も売ってるんですの？スーパーって」
「知らない感じ？ならぐるっと見て回る？」
「あ、でもまずは……」
「お餅の確保ね」
通いなれているらしいお茶子ちゃんがこっちと先導してくれる。
ヤオモモはカートを押しながら珍しそうに見回して言った。
「麗日さん、人参とじゃがいもの詰め放題ですって！何に詰めますの？バック？」
「バックて」
「ビニール袋だよ。バックに詰めたら万引きやん！」
お茶子ちゃんの突っ込みに、ヤオモモは恥ずかしそうに確かに…と呟いた。
「そう言えば、最近万引きのニュース多いよね」
話題を変えようと、私が万引きの事を口にすると、梅雨ちゃんが頷く。
「夕方のニュースとかね。物を瞬時に移動させる“個性”とか使ったものだと、発覚しにくいから小さなお店だと大変らしいわ」
「許せないなっ、小さなとこはいっぱいいっぱいでやってるのに」
実家重ねて、鼻息を荒くしているお茶子ちゃんに、ヤオモモも頷く。
「窃盗ですからね。凶悪な犯罪ばかり注目を集めがちですけど、犯罪は犯罪ですわ。きちんと取り締まらなければ。自分だけが得をしようとする人が多すぎます」
私がウンウンと頷いた時、お茶子ちゃんがハッとした顔になった。
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作者名：心哀雪 | 作成日時：2020年4月22日 10時
