囚われの少女 弐 【鬼滅の刃】

囚われ 陸拾壱 ページ26

夜、眠れなかった私は屋根上に上がった


そこには瞑想をしている炭治郎君がいた


『…もしもし、こんばんは』

炭治郎君に近づく


｢あ、Aさん｣


炭治郎君の隣に座る

『全集中常中、頑張っているみたいだね。
努力は報われるよ』


笑顔で炭治郎君を見る


｢…Aさん、辛いことがあったんですか？｣


目を大きく開いた

そういや、炭治郎君は匂いでわかるんだったね


｢機能回復訓練の時も悲しい匂いがして…｣


悲しいこと…


辛いこと…


『私は…確かに悲しい…』


大きく息を吸った

『私の家族も炭治郎君と同じように鬼舞辻に殺された』


『私はある日から夢の中に鬼舞辻が現れるようになった。
それから師範がいないと心配で夜、眠れなくなってしまった』


ごめんね

弱い私で


年下の子にこんなことを言うなんて



｢Aさん、大丈夫です!!
俺、長男ですので!!｣


ん？

長男関係あるかこれ


｢Aさんは俺の先輩ですが、甘えてもいいんですよ｣



その声はどこか、亡きお父さんと重なって聞こえた

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