桜色の手紙〈平野〉 (ページ10)

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「大丈夫だよ、笑。一緒に学校行こ？」

A先輩も朝は急いでるかもしれないし、と

何やらブツブツ言っているのが怖くて

それを落ち着かせるように言ってあげる。

すると、俯きがちだった顔が上を向いて

まるで花が咲くようにぱぁｯと笑顔になった。

平野「はいっ！行きます！」

「じゃあ、八時にここで待ってるね」

平野「分かりました、待っててくださいっ！」

これでもかと言うほど明るく、

弾んだ音を鳴らすハスキーボイスが

私の心も弾ませてくれる。

平野「ちゃんと待っててくださいよ～っ！？」

「分かったから早く帰りなさい、笑」

自宅に入るまで何度もこちらを向いて

明日の確認を取ってくる平野くんが

なんだか弟のようで、不思議な感じだった。

平野くんを見送ってから息をついて

家の中に入ると、自分の部屋に向かう。

親が共働きの私は、幼い頃から鍵っ子で

高校に入学すると同時に、暇を潰すため

駅の近くのコンビニでバイトを始めた。

たまたま今日はシフトが入っていなかったから

平野くんと一緒に帰る事が出来たけど。

いつも廉と駅の近くで別れるのは、

私がバイトをしているからというのも

理由に含まれていたりする。

バイトがない日は送ると言われたけど

廉の家は私の岐路とは違う方向だと聞くし、

わざわざ送って貰う程でもない。

だから、一人で帰るようにしている。

鍵っ子だから一人でいる事には慣れてるし

今はスマホという文明の利器がある。

それでも一緒にいてくれる廉のおかげで

学校生活もそれなりに楽しく過ごせているし、

彼には感謝する事が沢山あった。

きっと、今日知り合ったばかりの平野くんも

これから私の生活に大きく関わってくると思う。

証拠と言ってはなんだけど、

明日も一緒に登校することになったし…

私としては嬉しいばかりだった。

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