＿＿ chocolate.5 ページ5
.
その日の夜。
昨日と同じようにペンダントをハンカチに包んで
彼に出会ったバーへと足を運んだ。
黄色いネオン管は、
相変わらず接触が悪くて
見ているだけで目がおかしくなりそうだった。
小さな窓のついたドアを開けて
店の中に体を入れる。
マスターの静かなウェルカムコールに
言葉は発せず頭を下げる。
ワインを頼むと、昨日と同じ席に座った。
あの人が来るかは分からない。
でも、会いたい理由は ちゃんとあった。
店員さんの運んできてくださった
大人しい雰囲気のカクテルを目を映すと
ピーチの甘い香りが漂う。
頼んでいないものが来て驚きながら
マスターの方を見るも、
カウンター対応で忙しそうだった。
ワインを頼んだはずなのに、どうしてカクテル？
不思議に思いつつも、
グラスの脚を摘んで味わう。
それは溶けるほど甘くて、すぐに酔えそうだった。
.
『 どう？ピーチウーロンの味は 』
その声が聞こえて、はｯ と
カクテルグラスから視線を上にあげた。
そこには、昨日と同じように向かいの椅子に座る
自分の会いたかった人の姿があって、
思わず、息を飲む。
「 すごく…美味しいです 」
『 まぁ、そうだろな。俺の好きなカクテルだし 』
そう言って自信満々に笑む彼は、
この世のものとは思えないくらいに
美しかった。
『 んで？なんで連絡してこなかったの？ 』
昨日持っていたものと似たような、
ウイスキーグラスを傾けながら聞いてくる。
電光に照らされたウイスキーは、飴色に煌めいた。
「 本物かどうか、分からなくて 」
『 ははｯ、可愛いな。意外と警戒気味って事か 』
慣れたように綴られた台詞は、
あまりにも自然と私の耳の中に入ってきた。
.
＿＿ chocolate.6→←＿＿ chocolate.4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1597人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらんぼ＆チェリー@サブ(プロフ) - あぐた。さん» わぁぁぁぁぁ！ありがとうございます！！ (2020年2月21日 21時) (
レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - さくらんぼ＆チェリー@サブさん» コメント、ありがとうございます。ベテランだなんて…まだ投稿を始めて数ヶ月も経っていない未熟者です。また作品読ませて頂きますね！(^^) (2020年2月21日 1時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ＆チェリー@サブ(プロフ) - いんこです！hit数がスゴい……ベテランさんですね！ (2020年2月21日 1時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます。ただいま下書きをしております。公開予定は今週末を予定しておりますので、もう暫くお待ち頂ければ幸いです。 (2020年2月18日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - いつも読ませて頂いています！是非新作も読ませて頂きたいのでパスワード教えて頂きたいですか (2020年2月18日 10時) (レス) id: ad4f41f45e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あぐた。 | 作成日時：2020年1月25日 21時
