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『 稽古あるから送れないけど 』
駅まで車を走らせる平野さんの横顔を見ていると
眩むような美しさに目がやられそうになる。
別に大丈夫ですよ、なんて強がってみれば
片手をハンドルから離して髪をかきあげた彼に
ふｯ と鼻で笑われてしまった。
『 ほんとは寂しいって顔に見えるけど？ 』
愛でるような視線を向けられ
つい手のひらで顔を隠してしまう。
自覚症状のない表情ほど恥ずかしいものは無くて
そんな顔をしてたなんて…と
熱くなる頬を冷やそうと手を当てた。
「 稽古の方が大事ですよ、私なんかより 」
『 まぁ確かに…ファンならそう言うだろうな 』
「 私、ファンなんですけど 」
『 そんな事分かってるわ 笑 』
私の嫌味をそれとして受け取ってくれない彼は
マイペースに会話を進めてくれて、
いつの間にか心の寂しさも消えていた。
駅前のロータリーに静かに停車すると
ふとこちらを向く平野さん。
あまりにじっと見てくる彼の視線に
どうしたらいいのか分からなくなってしまい
ただ見つめ返すだけの時間。
すると、彼は溜息をつくように言い放った。
『 約束、破っちゃうの？ 』
フロントガラスの向こうから流れてくる街の声が
次第に小さくなって、彼の息遣いすらも聞こえた。
「 約束、… 」
『 忘れたとか言うなよ？ 』
助手席の方に詰め寄ってくるから
身の危険を案じて腕を引きかけるも、
彼の男らしい手によって捕らえられてしまった。
数秒、沈黙が流れる。
黙って私の返答を待つ平野さんの瞳は、
底知れないほど扇情的で熱っぽくて…
なのに、どこか不安な感情がある気がした。
『 早く 』
「 …は、早く…って、 」
『 じゃないと俺、帰っちゃうよ？ 』
こんなチャンス、二度とないんじゃない？
なんて意地悪に微笑む彼は、
厭らしい悪魔のようだった。
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さくらんぼ＆チェリー@サブ(プロフ) - あぐた。さん» わぁぁぁぁぁ！ありがとうございます！！ (2020年2月21日 21時) (
レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - さくらんぼ＆チェリー@サブさん» コメント、ありがとうございます。ベテランだなんて…まだ投稿を始めて数ヶ月も経っていない未熟者です。また作品読ませて頂きますね！(^^) (2020年2月21日 1時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ＆チェリー@サブ(プロフ) - いんこです！hit数がスゴい……ベテランさんですね！ (2020年2月21日 1時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます。ただいま下書きをしております。公開予定は今週末を予定しておりますので、もう暫くお待ち頂ければ幸いです。 (2020年2月18日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - いつも読ませて頂いています！是非新作も読ませて頂きたいのでパスワード教えて頂きたいですか (2020年2月18日 10時) (レス) id: ad4f41f45e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あぐた。 | 作成日時：2020年1月25日 21時
