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__ chocolate.18 ページ18

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『 乗って 』








ホール裏にある関係者用の駐車場に


停められていた車の助手席のドアを開けると


エスコートしてくれる。








彼がJewelに行ったからか、


車内はチョコレートの香りがした。








「 平野さん、何か怒ってます? 」


『 別に怒ってない 』








いくぶん雑に車のドアを扱うから、


どうしたものかと思って聞いてみれば


定型文で返されてしまった。








「 だって、怒ってるって顔してます 」








バックミラーで自分の顔を見て


何も言わずに車を発進させてしまう。








あまりに自然な流れで乗り込んでしまったから


今頃な事かもしれないけれど、








平野さんの車に乗ってしまった…。








『 仮に怒ってるとして、なんでだと思う? 』








基準は道路に視線を合わせながら


ちらっ、とだけ私の方を見流してきた。








自分の好きな人が隣で運転をしているのだ、と


心ばかりが先走って焦っているけど


一度、心を落ち着かせて質問に答える。








「 …神宮寺さんと話をしたから、ですか? 」


『 じゃあ俺が嫉妬したと思ってんの 』


「 多分、……はい 」








じっとフロントガラスの向こうを見ていた視線が


赤信号によって私の方に向けられる。








ブレーキを踏むとエンジン音が止んで


外の音が間遠になった車内に


彼の小さな声が響いた。








『 正解 』








柄にもなく恥ずかしそうに頬を染めて


またアクセルを踏む彼。








忙しない街が過ぎていくのをバッグに見る横顔は


いつもより増して妖艶だった。








魔性の魅力を秘めた彼の厚い唇が


慣れたように弧を描いた時、


私の息が止まりそうなくらいに詰まった。








チョコレートの香りで甘かった車内の空気が


彼のオーラと混ざって、さらに甘くなる。








息をすれば、


その香りに溶けてしまいそうだった。








彼は、どこまで私の事を堕とすつもりなのだろうか。








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さくらんぼ&チェリー@サブ(プロフ) - あぐた。さん» わぁぁぁぁぁ!ありがとうございます!! (2020年2月21日 21時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - さくらんぼ&チェリー@サブさん» コメント、ありがとうございます。ベテランだなんて…まだ投稿を始めて数ヶ月も経っていない未熟者です。また作品読ませて頂きますね!(^^) (2020年2月21日 1時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ&チェリー@サブ(プロフ) - いんこです!hit数がスゴい……ベテランさんですね! (2020年2月21日 1時) (レス) id: 8fd736f5ec (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます。ただいま下書きをしております。公開予定は今週末を予定しておりますので、もう暫くお待ち頂ければ幸いです。 (2020年2月18日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - いつも読ませて頂いています!是非新作も読ませて頂きたいのでパスワード教えて頂きたいですか (2020年2月18日 10時) (レス) id: ad4f41f45e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぐた。 | 作成日時:2020年1月25日 21時

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