__ Love weather.19 ページ19
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しばらく、静かな時間が流れる。
私からも、永瀬さんからも、何一つ言葉を出さずに…ただ遠くから聞こえる生徒の声を聞いていた。
不思議な時間だった。
でも、居心地の悪さは これっぽっちも無くて。
むしろ、ずっとこのまま
時が止まってしまえば良いとさえ…
思えるほどだった。
手当が終わってから数分後、永瀬さんが口を開く。
廉「 怪我せんかな、って… 」
『 …え? 』
廉「 Aちゃんが怪我して、
また保健室に来てくれんかなーって、
そんなん考えとった 」
私の座っているベッドの向かいに腰掛け、
自らの手を見つめながら そう言う。
“ さいてーやな、俺 ”
呆れ笑いを浮かべて 首を搔く。
私は咄嗟に “ そんな事無いです! ” と言ってしまった。
私の言葉に ハッ と顔を上げて、
“ ほんまに? ” と呟く。
返事をする変わりに大きく頷くと、永瀬さんは安心したように微笑んで ソファに寝転がった。
『 そういえば…どうして、
テニスコートにいたんですか?』
廉「 ん?Aちゃんが試合やるって聞いて 」
さも当たり前かのような雰囲気。
いやいや、球技大会出るはずのない人が
出場生徒を知ってる訳ないでしょ。
どうせ、優太か先生から聞き出したんでしょうね。
お陰で助かったけど。
『 やっぱ慣れない事しちゃダメですね 笑 』
包帯の巻かれた足を擦りながら
はにかんで見せた。
でも、永瀬さんは いつも通り優しく笑って。
“ 俺は嬉しいで? ”
“ Aちゃんに会えるもん ”
そう言った。
よくそんな事 平気な顔して言えるな、と思う。
私の脳内はキャパオーバーだった。
そんな照れくさいようなセリフを言われた事なんてないし、もちろん聞いた事も無かったから。
テレビで見た事あるか無いかくらい。
『 そんな事言って…本気にしますよ?笑 』
恥ずかしさを紛らわす為、
自分に言い聞かせるつもりの言葉だった。
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あぐた。(プロフ) - Sさん» コメントありがとうございます。afterstoryは今、下書きをしておりますので、しばしお待ちください! (2020年1月28日 22時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 完結おめでとうございます!やっと付き合った2人のラブラブなafterstoryも気になります! (2020年1月28日 19時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - 箱推しティアラさん» コメントありがとうございます。更新、頑張ります! (2020年1月25日 1時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
箱推しティアラ(プロフ) - おもしろいし、この作品好きです!読みやすいですよ。更新頑張ってください! (2020年1月25日 0時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - さちままさん» コメントありがとうございます。ただ書いているだけで全然語彙力や文章力が無いので…そのように褒めて頂ける事、とても光栄です! (2020年1月22日 18時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぐた。 | 作成日時:2020年1月19日 19時