丗漆 ページ41
朝っぱらから生徒の電話で起こされた。
だが、あの恵がこの時間にわざわざかけてくるのはきっと何かがあったからなのだろうと眠気をふるいながら電話に出た。
「どーしたの恵。こんな朝から……」
「Aさんが部屋でぶっ倒れてる…！かなりヤバそうだからさっさと来い」
恵が珍しく焦っていた。余程の緊急事態なのか。
「……分かった。硝子も連れてく。今どんな感じ？」
「いや、家入先生を連れてくるのは………。Aさん吐いてるんで、さすがに女性はちょっと」
「はぁ！？28にもなってゲロってんの？」
「吐いてるのなんてまだ可愛い方ですよ………」
「いいからさっさと来い」と恵は急かす。声に動揺が滲んでいる。
『吐いてるのなんてまだ可愛い方ですよ』
それってどういう────
目隠しをつけるのも忘れて、急いでそこに向かった。高専の男子寮。仮住まいの予定だったが、あの人が「ここで構わない」と言うからそのまま。
恵との通話を切って硝子にかける。出ない。とりあえず留守電を入れて置いた。
「五条先生！」
「アイツは！？」
自分でも焦った声が出る。
悠仁が視線をそちらに向けた。自分をそこへ視線を移す。
そこに居たのは恵と自分の片割れ。散乱してる小物雑貨。
吐瀉物は恵と悠仁が軽く拭き取ったのだろう。そこまで目立ってはない。匂いはするが。
──確かに、嘔吐ぐらい可愛い方かもしれない
首筋から薄く血が出ている。その白い肌に無数の引っかき傷が痛々しくあった。傷口は深いようには見えないから、別に命に関わるものじゃない。
「Aさん。多分これ自分でつけたやつですよ」
恵が倒れている彼の手を見てそう言った。
「早く保健室連れていきましょう。Aさん背が高すぎて虎杖でも運べなかったんで………五条先生、つったってないで早く…！」
「…」
何が
いったい何が、この人を追い詰めて………
なんて、思うことに自嘲してしまう。
なんて、白々しい。
僕か
僕の存在か。
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憐夏 - 好き めんどくさい兄弟関係って尊すぎる！ (2021年2月25日 20時) (
レス) id: 1ae87684b0 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 伏黒の立ち位置が好きです。そして唐突に登場した歌姫も……好きだぁ。更新頑張ってください！ 続編行ってきます！ (2021年2月7日 3時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
るりあ(プロフ) - 800個目の星はもらったｯ!! 好きです。更新頑張ってください。 (2021年1月31日 11時) (レス) id: d87d5c1f37 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - ああああああああぁぁぁ最高応援しておりまする！！ (2021年1月24日 22時) (レス) id: adf56d1812 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - すっっっっ…………………………っきです。更新頑張って下さいまし！！ (2021年1月24日 20時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月
| 作成日時：2020年11月25日 1時
