最強な弟。フツーな兄。

参 ページ5

薄々、気付いてはいた。

この学校いるな、って。



そもそも学校には大抵“魔除け”の呪物が置かれてたりする。それがだんだん風化していき、むしろ呪いを呼び寄せる餌になることも珍しくない。


いやぁ……にしても、ねぇ？


一応五条家の人間である俺が1年過ごしてきたっていうのに、




このレベルの呪いを引き寄せる呪物があることに気づかなかったとか恥ずかしくて死にそうなんだけど。


いや、フツーにいるじゃん。絶対呪物に引き寄せられてるでしょ。ラグビー場にいるじゃん。2級位はありそうだし。最近呪術とか使ってねーから祓える自信ねーな。

というか今考えたら割とずっと呪物の気配あった気がする。こう…近すぎるようで遠いような、遠いようで近いような気配はずっとあったような……



「死体でも埋まってんのか？」


うわぁと思いながらラグビー場を眺めていたら、前にいた生徒がボソリと呟いた。

“死体でも埋まってんのか？”

その目は確かにあの呪いに向けられているような気がした。



あの子、見えてる側の子？



「クソ！気配がデカすぎる」


苛立ったように髪を掻いて、振り返った彼とバッチリ目が合った。
しまった、とわかりやすく顔に書いてある。

「気配？なにが？」
「あ……いや、なんでも」
「そう」


見えてるなこの子。と確心を得たが、特に踏み込むこともせず俺は校舎に戻ることにした。

思えば、こんなヤバそうな気配がする呪物を高専が放っておくはずがない。




見えてる側だし、持ってる側なのかな。あの子。

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