最強な弟。フツーな兄。

廿伍 ページ28

俺、別にアイツが嫌いなわけじゃねーんだよ？フツーに幸せになって欲しいよ？“最強”で生まれて、昔から何事も不自由なく、でもガチガチに縛られて生きてきたことに、同情もする。尊敬もする。


でも、尊敬はまだしも、同情っていうのはフツーに最低だと思わね？自分で言うのもなんだけどさ。


同情って自分よりもそいつのこと下に見てるから生まれる感情なわけで、きっと俺はアイツのことを憐れんでるんだと思う。


可哀想とか、そんなもの本人からしたら周囲のエゴなわけで、本人次第では全然可哀想な事じゃないのかもしれないわけだし。



まあ、俺は“良いお兄ちゃん”ではなかったわけだ。他人が勝手にするような評価を兄である俺がアイツにしてる。

俺はずっと知ってた。

知ってたというか察してた。



アイツが“最強”であることを望んでなかったことくらい

アイツがフツーに俺みたいな身軽な生活を望んでたことくらい

アイツが「無下限呪術」を、そして「六眼」を欲した訳では無いことくらい




まあでも、それに目をつむれば楽だったんだよ。俺はね。




本来俺がやらなきゃならなかったことを、アイツが“五条悟(最強)”であることに隠れて、俺はアイツに押し付けた。




そりゃあ、楽な生活だったよ。


弟からフツーを奪って、“最強”の影に隠れて自由に過ごす生活は。





どこかの誰かは言ったよ


“弟に全部持ってかれた兄だ”

って


違う違う

奪ったのは俺の方だよ。





それでも、アイツは俺に無いもの全部持ってる。

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