最強な弟。フツーな兄。

廿弐 ページ25

「悠仁はさイカれてんだよね。異形とはいえ生き物の形をした呪い(もの)を、自分を殺そうとしてくる呪い(もの)を、一切の躊躇なく殺(と)りに行く」


呪術師なんてみんなイカれてる。そう言いたくなったが、自分も呪術師だったことを思い出して口を噤んだ。

イカれてなきゃこんな職つけない。


「君らみたいに昔から呪いに触れてきたわけじゃない。普通の高校生活を送っていた男の子がだ。才能があってもこの嫌悪と恐怖に打ち勝てず挫折した呪術師を恵も見たことあるでしょ」
「この俺とかな」

ただ自虐ネタとして言っただけだった。

「貴方はこの世界に嫌気がさしただけでしょう？」

なのにコイツが噛み付いてきた。

「……別に。肌に合わねーって思っただけですけど」
「でしょうね。何をやっても認めてくれない世界でしたもんね。僕がいましたから。貴方は覚えてないかもしれませんけど」
「生憎と物覚えが悪くてな。誰かさんと違ってフツーなんで」

嫌味ったらしく言うコイツに、俺も嫌味を返す。近くにいる伏黒くんがため息をついたのが聞こえた。

「……そうやって、いちいち僕を………」
「は？」
「楽でいいですね」


コイツの態度は読めない。
いちいち突っかかってくるし、しつこいし、めんどくさい。

俺が嫌いなら関わらなければいいのに。

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