最強な弟。フツーな兄。

拾参─side伏黒 ページ15

「悪い、伏黒……」


電池の切れた機械のように男は倒れた。
実際、呪力切れで倒れたのだろう。俺らを守るために簡単な結界まで張りながら闘っていたのだ、この男は。吐血までしている。早々に治療しないと命に関わる。


だが状況は良くない。むしろ最悪だ。


「呪術規定に基づき、虎杖悠仁 オマエを───“呪い”として祓う(ころす)」


正直、こんなことしたくない。
だが俺には助けられるほどの力もない。


「いやなんともねーって。それより俺も伏黒もボロボロじゃん。A先生死にかけてるし。早く病院いこうぜ」


今喋ってんのが呪物が虎杖かもこっちはわかんねーんだよ……！

(クソッ！！どうしたらいい！？)



「今どういう状況？なんでコイツまでいんの？」

救世主の声がした。

「なっ……五条先生！どうしてここに」


救世主──とは、もはや呼びたくない。
スマホを片手にボロボロな俺の写真を撮って「2年の皆に見せよーっと」と抜かすこの男。死ぬほど殴ってやりたくなったが、絶対に無理だとわかっている。本当に腹が立つ。




先生はそのまま倒れた男のそばに寄る。



「うわ、何年ぶりだろ。懐かしー」



と言葉の割には淡々とした冷たい声でそう言った。

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