最強な弟。フツーな兄。

序章 ページ1

“フツー”


俺の口癖だ。

俺の名前は五条A。みんな知ってる五条悟の双子の兄です。“あの”五条悟と双子の割には俺は目立たないし、存在を認知されてない。


理由は簡単。俺の存在がもはや家になかったから。家族？何それ美味しいの？

生まれたときから何かが違ったらしい俺の弟は蝶よ花よ神よと育てられ、チビの頃からずーっと呪術、呪術、呪術の生活だった、らしい。
小さい時から任務をこなし、小中学校なんて通わなかった(通えなかった)らしいし、まあ生まれながらに“持てる者の務め”を果たさなければならなかった、らしい。

何故こんなにも“らしい”を乱用するのかと言うと、これまた簡単。フツーに知らないから。弟さえいればよかったうちの両親は俺の事なんて早々に見捨てた。育てるべき子供は弟だけだと言わんばかりに。小学校に上がる頃には俺は親戚に預けられて、フツーの生活を送っていた。

正直、弟と家族らしい会話とかしたことないし、他人みたいなものだ。家も別々だったし。関わらなかったし。

弟の髪が綺麗な雪色に対して俺は真っ黒。見た目からも俺らが双子だとは想像がつきにくい。呪術師としての才能も弟に比べたらクソみたいな俺は、呪術の世界で生きていくことを辞めた。


フツーに大学入ってフツーに教員免許とって、フツーに宮城の高校で古典教えてます。

あ、今は違うんだ。

古典教えて“ました”

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