悪魔の子【約ネバ】 (ページ9)

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皆が少しお喋りを零しながら食べている中、一人黙々とご飯を進める僕。
今日は何か凄かった。
鬼ごっこは結局鬼の勝ち。
ノーマンとレイがいるなら当たり前だよね。

…ふと、片手を頬に持っていく。
あの時、目を覚ました途端レイの端正な顔があって正直かなりびっくりした。
僕だって女だ、あんな至近距離であの顔を見たらさすがに恥ずかしい。
まだ頬が触れられた時の感覚が残っている。

思えば、レイとはっきり顔を合わせたのは今日が初めてかもしれない。
あまりこのハウスの人達と話さない、目を合わせないの二点張りの僕は、多分良いようには思われていないだろう。
前の年長者に、「何かアレクトって暗い」と言われた程には。

でも何か、話すのも悪くないかもな。

「アレクト、どうしたの？」

いきなり後ろから声を掛けられ、びっくりして振り返る。
そこには、皆が慕うママ、イザベラが。
ママはにっこり、と笑みを浮かべてこちらを見ている。

「いや、何でもないよ」

自分の何の感情もない声が、耳に入る。
ママはそう、と呟いて他の子の元へ。
また食事の皿と向き合い、残りのものを完食する。

__ ふと、エマ、ノーマンと一緒に歩くレイの後ろ姿が目に入る。

楽しそうだなぁ、と思い皿を返却しに行く。
あんな風に仲のいい家族は、羨ましい。
僕にはもう居ないから。