#5 <鈴> ページ7
…4人で、遊んでいると。
部屋の中に綺麗な女性が入ってきた。
「「「あ、お邪魔してます。」」」
「いえいえ、遊びに来てくれて私も嬉しいわ。」
女性は、浮世離れした銀色の髪に、銀色の瞳を持っている。
それに、大人にしてはあどけなさを残した顔が、少し不思議な感じだった。
『叔母上、どうかしました?』
棚を漁っていたリリィが、女性に問い掛ける。
「いえ、皆さんに渡したいものがあってね…?」
「「「『渡したいもの?』」」」
そう言って女性が差し出したのは、小さな鈴だった。
ネックレスにも出来て、持ち運びに便利な鈴。
「い、良いのですか?貰っても。」
「良いのよ。
最近色々物騒だからね。
私からの、御守り代わりよ。」
その言葉に、アンジェとシンシアは顔を輝かせ、鈴を首につける。
ベルントは、最初こそ着けるのを躊躇ったが、終いにはシンシアに着けられた。
リリィは、鍵のネックレスの上から、その鈴をつける。
ちりん、と澄んだ音が響く。
「近頃じゃあ、月神様の御加護も弱まってるって言うからね。
…村の未来を背負う若い子達が死ねば、大人達は苦しむだろうね…
…その鈴を、肌身離さず着けていて。」
叔母の真剣な表情に、思わずアンジェ達は硬直してしまう。
『…月神様の御加護は、弱まってないと思うんだけどなぁ…』
面倒そうに呟いたリリィの声は、鈴に夢中の3人には聞こえていなかっただろう。
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