孤独の氷 Ⅱ 【被虐のノエル】 (ページ14)

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その夜──

四人は昨日と全く同じ姿のアクエリアスの前に姿を現した。
だが、今回は先日のように回り道をすることは諦めた。確かに、またあんな目にあうのはごめんだ。
故に、作戦をがらりと変えた。ノワールの使者である黒猫が、カロンから作戦を教えてくれた。その内容は──

そう、正面突破である！

カロンの赤く輝く鎖が自動ドアを容易く打ち砕き、ロビーにはけたたましい警報音が鳴り響く。駆け足で進むと、ふと、ノエルが制止の声を上げた。
ノエルの見た方向を見ると、そこには小型の警備用ドローンがうじゃうじゃと湧いてきていた。さながら人の目のようなランプを灯し、侵入者を撃退する自身の作られた意義を達成するために、辺りを右往左往し始めた。

「何だ、アレは…」

「アレはセキュリティドローン。簡潔に言うと機械の警備員ですよ、カロンさん」

「人間じゃない分、厄介なシロモノですわ」

機械ならば、壊れるまで動き続ける。簡単なようで、厄介だ。人間ならば、ある程度傷を付ければ降参を認める人も居るのに──。ミシェルは脳内で、そんなことを考えていた。

「さて、かなりの数だ、どうする？」

「…さっき、奥の通路入口にの左に、火災報知器があったのを見ましたわ」

「…それを使えば、何とかなる、かな」

「機械に疎いカロン様や、いくらお前でもわかるだろう？

機械に水を掛けたら、どうなると思う？」

「…！」

カロンもその思惑を悟ったようだ。そう、機械は水を被れば壊れる(耐水性でなければ)。そしてスプリンクラーの水を掛ければ、確実に動きを止めるくらいは出来る。
作戦としては、ミシェルとカロンがドローンを惹き付け、その間にノエルとノワール(ノエルが見つかった時用のボディーガード)がスプリンクラーを作動させる。
四人は頷き合い、各々の行動を開始した。

――

※ノワールは実はカロンのような戦闘能力が余りありません。それはノワールが持つ特殊な力のせいなのですが、それについては物語でちろちろ触れていきます…()