孤独の氷 Ⅱ 【被虐のノエル】 (ページ12)

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目を開くと、眩しすぎる位の光が飛び込んできた。
強すぎる光にもう一度目を瞑ると、扉の開いた音が聞こえた。

「…のわー、る？」

「目が覚めたか、我が愛しの契約者サマ」

鼻腔を撫でるコーヒーの匂い。いれて来てくれたのだろう。
目を開けて、いつものノワールの姿を見た。

「あぁ、光が眩しすぎたか…すまなんだ。今小さくするでな」

そう言うと、コーヒーを持っていない片手でランプの紐を引き、部屋の明かりを小さくした。
そうすると少し楽になった。契約したことで少し軽くなったはずなのだが、やはりこの体質には悩まされる。
でもやはり幼少からの付き合いだ、慣れた。
コーヒーを貰い、一口だけ啜る。矢張り彼女がいれたコーヒーは美味しい。

「ノエルとカロンなら自分達の塒に帰ったぞ。
案ずるな、二人とも無事じゃ」

「…そう。」

冷たく言ったけど、内心は安堵していた。
水中で気を失った為、2人がどうなったのかを知らなかったから、安否を知っただけで心の奥の張り詰めたものがプツンと切れた。
だが、その最奥の線は…まだ切れてはいない。
シビラ・ベッカー。
あの女がアクエリアスに居たということは、間違いなくクロである。

「何としても、潰す。今度こそ、あの男の薄汚い本性を世間に晒してやる…！」

絶対に、許さない。

私の母と父を殺した、あの男だけは──！