��.轟家 ページ10
「A、夕飯ありがとね。美味しかったよ」
夕飯を終えて皿洗いに勤しむAに、姉の冬美が食器を片付けながらお礼を言った。
今日の夕飯のメニューは唐揚げ。
唐揚げだけでなく、副菜のサラダ(水菜とレモンを使った和サラダ)と汁物(揚げ茄子の味噌汁)も用意されており、バランスも良くとても美味しかった。
「………」
しかしAの返事はなく、ただ黙々と皿を洗うだけ。
聞こえてないのか、それともあえて無視をしているのか。
おそらく後者だろうと、冬美は察して下唇を軽く噛んだ。しかし、弟にかける言葉も見つからず、黙ってまだテーブルに残っている食器を取りに行った。
そんな姉と入れ代わるように、今度は父親がやってきた。肩幅が広くがっしりした体つきは、同じ空間に居るだけで周囲を威圧する。いつも不機嫌そうな顔をしているし、同じ家に暮らす上でやりづらいったらありゃしない。
長年の癖で、また何か言われるのか、とAは身体を強ばらせた。
(唐揚げはハイカロリーだからやめろとか？)
昔、魚の味付けが濃いから薄くしてくれ、と言われたのを思い出して、Aは眉をひそめる。だが彼の予想に反して、父親は何も言わず食器だけ置いて、すぐに去っていった。
そういえばあの父親はAが時たまに夕飯を作っているのを知らないはず。魚の味付けについても、食べ終わった後に姉さんに伝えたのを、Aが聞いていたに過ぎない。
かつて雇っていたお手伝いさんが引退した後、轟家の家事はそのほとんどを冬美が担当している。
食事は冬美とA、そして今は一人暮らしをしている夏雄が代わりばんこで作っていた。
かの父親は家庭のことには一切の興味を持ってないので(そもそも仕事柄、家にいないことの方が多い)、それを知る由もない。
今日はあの父親は家に泊まるのだろうか。
願うことなら市民の安全のために事務所へと戻って、そちらで寝泊まりしていただきたい。そちらの方が我が家の安全(主に精神の)にも繋がる。
(いや、この時間帯までいるってことは多分今日はこっちだな……)
最悪だと言わんばかりに、彼は大きな溜息をついた。
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天照(プロフ) - 続きずっと待ってます！ (2月20日 19時) (
レス) @page41 id: aa210f3daf (このIDを非表示/違反報告)
薄氷槐 - くぅッ…！続きが気になるッ！更新無理せず頑張ってください！応援してます╰(*´︶`*)╯♡ (12月12日 15時) (レス) @page41 id: 318600bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 一話から全部見直しました！何回読んでも最高です！続きの更新楽しみに待ってます( ^ω^ ) (12月9日 2時) (レス) id: de4c1d5b4a (このIDを非表示/違反報告)
メロンパン - 続き楽しみに待ってます。 (9月7日 18時) (レス) id: 77fdb417b6 (このIDを非表示/違反報告)
aiueo - 続き楽しみです。待っています！ (8月26日 11時) (レス) @page41 id: 8996259c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：火月 | 作成日時：2022年3月6日 13時
