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「…ほんで、今に至るっちゅうわけやな。
そこで様子見てたときのことは言わんでよかったん?」
治「殺意が分かったって話もした方がよかったんか?」
「ふはっ、ええ表現するやん。
うーん、18分かぁ。思ったより粘ったなぁ」
まだ、頭がついて行かない気がする。
でも、みんなが何も言わずとも異変に気付いて、ここまで来てくれて、あたしの代わりに怒ってくれているのは分かった。
そして、唐突に暗闇の中で触られたり、首を絞められたりした理由も。
あの時感じた、足音のような振動は、きっとみんなだったんだ。
「せやけど、ゲームには負けたから、そこで大人しくしとってもらおうかなぁ」
相変わらず間延びした声で話をしている。
男に言われて、周りでニヤニヤと見物していた男らが皆の方へ動き出す。
…なんのために我慢してきたんだろう。
守りたい相手が目の前に、いるのに。
北「ここにはおらんけど、アランたち、他の部員もゲームに勝っとったら怒ったと思うで。
さっき見せてた地図、俺らの家を示してるんやろうけど、みんな監督と一緒におるはずや。
だから大丈夫。よお頑張ったな、A」
いつも通り、淡々と話している北さんの声を聴いて、少し落ち着いた。
じゃあ、目の前の守りたい人だけを守るために動いても、何も問題はないってことだ。
「なんやの、余裕やなぁ。ほら、はよ捕まえてしまい」
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作者名:智紀りょう | 作成日時:2023年2月9日 14時