スイートショートストーリー【JUMP】

大人の男《Keito》 ページ3

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「ぎゅ」





ちょうどお皿洗いの終わったタイミング。


甘えたがりの圭人が自分で効果音を口にしながら、後ろから私を抱きしめる。





「もー、どうしたの圭人」





圭人のやさしくてふわふわな匂いを感じて、水に濡れた手をタオルで拭きながら振り返ると、目の前には照れたような笑顔。





「A、いつも家事頑張ってくれてるから、たまにはおれがやる。今日は休んでて？」


「ありがと圭人。でも圭人はいつもお仕事がんばってくれるからいいんだよ。それに今日はもう終わり！」


「ほんと！？」





そう言って嬉しそうに微笑む。


いくつになっても無邪気な笑顔を見せてくれる圭人に、温かいスープを飲んだときと同じような気持ちになって、胸の奥があたたかくなる。





「…大好き」





圭人は私の小さな呟きも逃がさず捕まえてくれて、それから大きな手で私のほっぺたを包む。


だんだんと顔を近づけてくるから、ぎゅっと目を瞑った。


唇に期待していた感触は、まだ伝わってこない。





「…A、俺も大好き」





吐息が顔にかかって、びっくりして目を開けると、そこで唇に柔らかい感触。


いつもは見せない彼の表情に胸の鼓動が速くなる。





「もうお腹いっぱいだけど、Aなら別腹で食べれちゃう」





そう言った圭人は、いたずらっ子の子どもみたいに、にやりと笑った。




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