スイートショートストーリー【JUMP】

シャッター《Yuto》 ページ20

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今日は彼氏の裕翔くんと水族館デート。


せっかくのデートなのに、彼は何やら本格的なカメラを首からぶら下げて、水槽の中の魚に夢中。



「ねー、裕翔くんそろそろ違うところ見に行こうよー」



私がそうやって拗ねてみても、



「もうちょっと待って！あと1分でいいから！」



なんて言って、平気で5分くらいその場から動かなかったりするの。



「裕翔くんのばか」



水槽から少し離れたベンチに座って、楽しそうに写真を撮る裕翔くんを見る。


いつもは私を撮ってくれるのに、と思った。


しばらくして、私は魚にやきもちを妬いているんだと気づいた。


少しだけ恥ずかしい気持ちになった。



パシャ


カメラのシャッター音が聞こえて、裕翔くんが近づいてくる。



「A、寂しそうな顔もいいね」


「、誰のせいで…！」


「ごめん」


「…いいよ」



私ばっかり裕翔くんのこと好きみたい。



「魚は、もういいの」


「ばっちり！現像が楽しみ」


「そっか、よかった」



私が笑うと、裕翔くんも安心したように笑った。



「ねぇ、手ぇつなごっか？」


「え、カメラは…？」


「今日はもうおしまい！Aの方が大切！」



そう言ってふわりと手を握ってくる裕翔くん。


私がその手をぎゅっと握り返すと、裕翔くんも同じように、ぎゅっと握り返してきた。



「ほんとにいいの、カメラ」


「もー、Aは心配しすぎ！いいの！俺には心のシャッターがあるから」



なんて冗談を言う裕翔くんは、得意気な顔をして笑った。



「へんなの」



そう呟いた私は、裕翔くんには内緒で、彼の笑顔に向けて心のシャッターをきった。




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