恋愛禁止令 (ページ8)

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翌朝。熱が出た。

親は海外にいて、一人暮らしだから結構きつい。

さっきから咳と鼻水止まらないし。

吐き気はするし。

頭も痛いし。

ずっとベッドでうなされる。

「んっ!?……おえっ」

私はとっさにゴミ箱をとって中に吐く。

なんか悪いもの食べたかな。

苦しくて、涙が出てくる。

少し治まったかと思ったら、またゴミ箱の中に吐く。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

こんな時に電話。

「も、もしもし」

健人「あ、A？学校来てないけどどうしたの？」

「あの、大丈……んぷっ」

電話してるのに我慢出来なくて。

健人「大丈夫!?ちょっと今から行く！この前コンビニから送る時に行ったから多分覚えてる！」

そう言って、電話が切られる。

健人くんが来てくれるんだ。

小さい頃は熱が出るといつも隣にお母さんがいた。

弱くなっている時はやっぱり、誰かが隣にいてほしい。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

健人「着いたよ！」

「空いてるから……」

そう言ってしばらくすると、健人くんがレジ袋をぶら下げて部屋に入ってきた。

ゴミ箱をチラッと見た健人くんは、涙を流している私の背中をさすってくれる。

健人「もう大丈夫だよ。ほら、ゼリーとか買ってきたから食べられるものあるかな」

「ん……」

また咳がではじめて、苦しくなる。

健人「よしよし。頑張れ頑張れ」

「健人くん……ありがと」

健人「辛いなら寝ちゃいな？」

「でも……」

健人「あ、大丈夫。何にもしないから」

「んふ、そうじゃなくて。せっかく来てくれたのに……」

健人「おれはAが元気になるために来たの」

「……ありがとう」

目を閉じると、頭に大きくて暖かい手のひらが優しく乗せられた。

この感じ、すごく安心する。

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私が恋に落ちた瞬間だった。